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古本オモシロガリズム

「部数」とは何か

趣味で調べてみたのだが、部数についてまともに概念規定したものがミョーに少ない。『出版事典』には「発行部数」ぐらいしかなくって、『マスコミ用語辞典』が役立ったのは意外であった。

「部数」とは何か

ぶすう【部数】 書物や雑誌など、出版物の数。続き物では、全体を一部としても数える。冊数。「発行―」 (三省堂 大辞林

これが一般的。

同一の版・刷などに属する資料の数(図書館情報学用語辞典2ed)

専門用語辞典ではこんな規定もあるねぇ。

なぜ、冊数ではないのか?

では部数の「部」とは、そもそもナンだろう? なんで「冊数」でないのか?それは。。。
「続き物では、全体を一部としても数える」からであり、雑誌などでは、別冊付録なども本体と一緒に1部と数えられるからといへやう。

部数の類義語 類縁語

おもに『マスコミ用語辞典』による。
公称部数 かきかけ
印刷部数「1回当りの刷り部数〜販売部数とは異なるが、発行部数との異動はいちがいにはいえない」 
発行部数「刷部数ともいわれ〜在庫しておくものと、取次店に配本する部数とにわける」「返品がかえってきて、発行部数から差し引いたものを実売部数という」「書籍の場合、初版から絶版までの部数の合計を総発行部数」
送り部数(販売店へ)と社内留めおきの部数(社内配布、広告主へ掲載しとして送る、見本紙)
普及部数
販売部数
押し紙 
一部抜き
1部売り

「客観的」部数

印刷証明書付部数
公査部数「ABC部数」とも。「公査」は日本ABC協会による造語で、造語としては不適切。意味は単に監査

部数の概念的関係(新聞)

発行部数=刷部数
 送り部数(販売部数+押し紙
 社内留めおきの部数(社内配布、広告主送付の掲載紙、見本紙)

同(雑誌)

(かきかけ

参考文献(追記2013.2.27)

じつは部数の歴史についてハ、参考文献となるやうな文献が極端にすくない。ってか、わちきもファンたる金沢なる文圃閣から、次のやうな特殊文献が近年出されてをり、そこに「部数調査の歴史」が載っているやう。。。


『雑誌新聞発行部数事典』(金沢文圃閣、2011)