書物蔵

古本オモシロガリズム

いまどきの図書館本2

ガラにもなく、こんな本を買ってみた。
『図書館の活動と経営』大串夏身編著 青弓社 2008.9
期せずして外部化に関する論調は『公共図書館の論点整理』の委託の章とほぼ同じ。つまり直営にせよPFIにせよ指定管理にせよ、ビジョンを立て直さないとしょーがない、というもの。
で、ビジョンに関して各人テンデなことを言っているのがいいねぇ。ある人はビジネス支援や闘病記文庫を推し、ある人は学校提携・読書指導だといい、貸出しをいっしょうけんめいやっとるとこもあるし、ある人はビジネス支援はなかなかむずかしかろ、という。1970年代以降の図書館言説ってば、自由な議論がなされてなかったからなぁ… 1950年代の『図書館雑誌』をみると、みんなテンデばらばらで楽しそうである。
ん?(・ω・。) こりゃーでんでバラバラをまとめている人がいるね(σ・∀・)σ
最後の文章がイチバン刺激的であるんだけど、ここにオモシロおかしく紹介しちゃうと旧派の人たちがここへ怒鳴り込んできちゃうんでやめとく。ここにどなりこまれても、こまるから。

図書館経営

あと「図書館経営」なんちゅーもんは、コトバとしてはあったけが、近年(平成不況と新自由主義改革の嵐)までなかったと2人の論者が指摘しておるけど、これについちゃあ、拙ブログの記事を参照めされい。

日本における図書館経営論の系譜【第2版】(http://d.hatena.ne.jp/shomotsubugyo/20080214/p1

こんど、また司書課程の省令科目が改正されるそうだけど、たとえば拡張された図書館経営論ってなキョーカショで経営論史を書くときなぞ、参考にできることでせう。ぜひ引用めされたし。
ま、でも、経営実態史じゃなくて経営論史なんだけどね。でも、なんてったって日本にはそも「経営」実態が希薄であったんで、「なかった」ことを「なかった」と書くのは極めてムズイわけである。だから「論史」に逃げたんだけどね。
ってか、この「逃げ」はレファレンス手法の極めて重要な手であるのだ。ある質問そのままでは絶対に答えが出ないようなものを、出るような形に、問いそのものを変換していくのが「レファレンス・プロセス」だ、ってな大法螺をふいたのはいつのことでしたかしらん(・∀・)
ん?(・ω・。) 「そりゃあ、学問の探求そのものじゃないか」ってか(^-^;)

それよりなにより、伊万里市

だけどわちきが一番オモシロと思ったのは、各人の論旨でもなんでもなく、序文の注なのだ(゚∀゚ )
本論で伊万里市立の事例があるんだど、それにつられて大串先生がとってもオモシロなことをこっそりと書いている。
それによれば、大串先生の曽祖父大串誠三郎は伊万里町長(1929ー1934)で、図書館を作った人なんだそうな。