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古本オモシロガリズム

一番建設的な意義があると思ふのは「研究者カード」位でせう(十進分類で大東亜戦争勝利!3)

いまから3年前に戦後日本ではじめて再発見した戦中の稲村やすおさんの活動。。。

十進分類で大東亜戦争勝利!

ひさしぶりに材料が少し。昭和17年の座談会でカードの効用に言及。
「科学・技術体制をいかに確立するか(座談会)」『科學主義工業』6(3)p.90-112(1942.3)

稲村〔耕男〕 (略)例えば科学動員協会が研究者の隣組を組織化するとか、研究カードを作るとかいふやうな例ですね。(p.96)
(略)
稲村〔耕男〕 「科学動員協会」で積極的にやつているものといひますと、「全日本産業技能選士顕彰大会」とか科学映画を方々へ持込んで映したり、一度出して引込めたつまらないパンフレットを出したり……。一番建設的な意義があると思ふのは「研究者カード」位でせう。(p.100)

どうも大日本帝国の科学動員って、ただの精神論に終わってしまう傾向にあったらしいのだ。
って、民主日本でもよくあるけどね。帝国臣民と日本国民はぜんぜん変わってないわけだが…
も、ひとつあった。
「単・色・光(科学技術時評)」『科學主義工業』8(8)p.26-27(1944.8)

―― いよいよ科学技術者登録がものをいふ時がきました。
―― 研究能力の判定は難しいことでせう。
―― カードに記入された事項から実態をつかむことはその人間を知つていなければ無理がある。(p.27)

稲村耕雄(やすお・耕男とも)研究動員関係文献目録

情報源:雑索(NDL,20c,皓星社,cnii)
稲村耕雄「大岡山一九二九-一九五一」『東京工業大学七十周記念誌』1998(東京工業大学学友会)所蔵不明
稲村耕雄「研究者とカード」『化学の領域』5(5)p.268-273(1951.5) 研究活動に文献抄録等の記録を保管するのにカードが便利と説く。
稲村耕雄「有機化学からみた国際十進分類法」『化学の領域』第2巻第3号120-129(1948.3) UDCの部分表を掲げる。稲村耕雄「読書の科学化:科学の方法から」『日読ニュース』第6号(1948.2)
稲村耕雄「[座談会]技術戦の勝利を目指して」『科學主義工業』p.22-34(1944.9) 
稲村耕雄「科学技術総力の組織化」『科学主義工業』8(3)p.40-45(1944.3)
稲村耕雄「研究動員と計畫科學(國難突破の生産態勢)」『中央公論』p.69(1943.12)YA5-54 稲村耕雄「智能の戰ひ」『中央公論』p.34(1944.7)
稲村耕雄「科学技術における特別研究生」『教育』11(10)p. - (1943.10)