書物蔵

古本オモシロガリズム

新田潤

秋岡の饅頭本にのったコゴウチさんの紹介から図書館でバイトしてた人が小説家になった話を知った。
新田潤作品集 / [新田潤著] ; : セット - 5. -- 一草舎出版, 2005
http://homepage.mac.com/takashisa/issousya/nitta.html
んで。
うはうはo(゚ー゚*o)(ノ*゚ー゚)ノ 「図書館小説」たくさん!

○第二巻
・「永遠の求愛者」(『娘ごころ』(昭和17)より)
太田秀子(モデル:小河内)の前の児童室担当者(初代?)宮原(モデル:柏原)が、図書館を辞めたあとも太田に未練を持っている様子を描く。この小説で柏原は、躁鬱気質の芸術家肌の人物に描かれている。小河内は、恋愛に関しては酷薄な感じに見えるような書き方をされている。
・「少年達」
図書館の出納手たちの生態。図書館業務はあまり出てこない。出納手は図書館には無関係なところへ散っていく。

○第四巻
・「未完の主人公」(初出『文明』1(3)(1946.4)p.109-129)
新田潤が勤めていた実業図書館(京橋図書館内)。その最初のお客(自称・図案家)はマント泥棒だった顛末。実業図書館の成り立ちなどについても略述。また、挿話として、京橋図書館の隣の築地署で起きた小林多喜二惨殺事件の日の目撃譚あり。
実業図書館の成り立ち部分については、『秋岡著作集』の小河内寄稿部分に転載あり。小河内は新田が実業図書館の担当だったこと、京橋図書館員が小説のモデルにされたことを『秋岡』に書いている。おそらく、自身が「一時代の片隅」のモデルになったことを知っていたと思われる。というのも、自著『公共図書館とともにくらして』(1980)において、左翼運動との関わりを示唆する向きがあるので明確に否定しておく旨書いているからである。

○第五巻
・「一時代の片隅」(初出:『社会(鎌倉文庫)』4(5)(1949.5) p.117〜128)
異常に熱心家の館長(モデル:秋岡梧郎)と、左翼運動に関係していると思われる婦人図書館員(小河内)のこと。
ちなみにモデルの小河内は自著(1980)で自分の左翼運動との関わりを明確に否定している。

にゃんだか、新田先生、柏原と、小河内さんと、秋岡梧郎の3名を、いろんなところに出して来てるよう(・o・;)