書物蔵

古本オモシロガリズム

灰色文献史研究 (代謄写 続々)

ググると,「代謄写」「以印刷代謄写」「以活版代謄写」などのバリエーションもある(「写」は正字でも探すべし)。
ネット上の情報から判断するに,時期的には明治中頃から,昭和戦後期まであるようだ。ひとつだけ大学の書誌データで注記部分に記述していたものがあった。
笑えるのは,お役所の報告書にも同種の記述があるらしいこと(^-^*)
内務官僚が帝国議会で,「そんなもん,あってもなくてもカンケーない(=なくっていい)」って言っていても,印刷関係者がやっているからどうしてもマネしちゃうんだね(あるいは印刷会社が勝手に刷り込んでいるのかもしれないが)。
役人自身が,実は法令と慣例を弁別できていないよい例なり。
じつは役人とゆーものは,前任者の繰り返しをやるのがメインで,他の省庁のことや講学上のことなどは知らないことが多いという*1
法令上の根拠はないから当然,印字される場所もいろいろと思われる。ただ表紙や奥付が多かっただろう。
ところで1980年代に図書館情報学で「灰色文献」論がはやったの憶えてる?(ってごくごく一部。って,そりゃあ流行じゃないってか∩(・∀・)∩) ググると1986年あたりから専門図書館の人たちがやっていたことがわかる(「灰色文献探偵団」)。
この人たちは実務家だったから「灰色文献の歴史」なんて研究をしようとは思わなかっただろうけど,いまからやろうとすれば,「以印刷代謄写(いんさつをもってとうしゃにかう)」って表記のことは必ず絶対に触れないといけないね(とここに宣言しておく)。
いざいざ,論文ネタに困っておる院生たちよ,パクったらきちんと典拠明示せよ〜

*1:じつは,そこに行政シロウトの公共図書館が「行政支援」をやる最大のつけこみ所があるのは… ひみつね