書物蔵

古本オモシロガリズム

『日本古書通信』(4月号)

めずらしく『古通』4月号をぱらぱらと座り読み(いつもは立ち読み(^-^;)アセアセ)。
書誌学者の小出昌洋「随読随記」に,掃苔家,磯ケ谷紫江(いそがや・しこう)が出てきた。紫江のやっていた「紫紅会」のことが『紫香録』にでてくるという。昭和10年4月11日以来,とある由。森潤三郎なども出ていたとのこと。
戦時にあんなに時代離れした本をだしつづけた磯ヶ谷紫江に興味あり。
「二代目酒井宇吉氏逝く」との記事も。一誠堂古書店2代目。このブログでも紹介した『古書肆一〇〇年』を出したとあるが,「数少ない古書店の社史」だという。2月に没し享年91歳とのこと。
国会図書舘の,このまえ滅亡した図書館研究所の所長もつとめた石山洋が図書館史記事を連載中。もう64回目。今回は児童図書館について。実はわちきぜんぜん読んでない。ある人曰く,「文献的根拠があんま示されないから困る」って。図書館実務家出身らしからぬ(実務家は文献典拠をしめされない文章にふりまわされるからね),って,もしかして研究ばっかで実務してなかったんじゃないの? あやすぃ〜(・∀・)
徳永康元氏についての回顧記事も。

徳永さんは昭和十一年に東大を卒業されたが,不況時代で就職口がなく,東大図書館に一時勤めれれた。新進作家の渋川驍さんや会田由,水野亮,菅原太郎,鵜飼長寿,佐藤晃一さんらも図書館にいて多士済々の時代で(後略)

とある。
『書痴・斎藤昌三書物展望社』特装私家版について,という広告も。頒価一万六千円で限定20部。先着順らしいから,これはもうだめだね。

追記 植木枝盛.を「廃棄本として処分」?

天下に名高い「自由詞林」…
自由詞林 / 植木枝盛. -- 市原真影, 明20.10
これの現物は極めてすくない,という話が編集後記的な記事にある。

国会図書舘本は内務省に納本された本が上野図書館に入り,昭和三十年ごろ国会図書舘に異動したとき,廃棄本として処分される直前,図書館の友人が見つけて電話をかけてくれたので,馳けつけて見たところが,これぞ新発見の第一号本

図書館の友人ってダレー? もしかして徹元さんかしら… 乙部(おつぶ)が「処分される直前」ってのはちょっと憶えちがいでは(ほんとうだとしたら,とんでもないこと)。乙部が上野から新庁舎へ移転するときに,再発見されたというところなんだろーけど。
いま,ピラ友たんご推奨の「近代デジタルライブラリー」でみると,本文の最初のページに「東京図書館印」と蔵書印が押されてるし,「明治二二・一一・一五・内交」と受入印があるから,これはたしかに内務省交付本。
この内交本のほかには,昭和3年ごろ青山督太郎(『愛書趣味』出版者)が入手して,いまでは早大図書館にある異刷りを除いてはこの世に存在しないと筆者(Y)は書いている。
ただ,ウェブ猫をひくと
なんと(×o×)3つの図書館が,それもあんま有名じゃないことがこれを持っていると主張しておるが…
この早大本を翻刻したものが昭和11年に100部限定で従吾所好社(石川巌)から出て,それは古書展に出たりするというから,それと誤認してデータを乗っけていると思うけど…
もし本モノならすごいことですぞ。
って,やっぱり翻刻だよねぇ(・∀・)