書物蔵

古本オモシロガリズム

太陽神ミトラが復活する?

今日(あした?)はミトラの復活日だった気がする。ミトラ神はキリスト教のライバルだったんだけどね。結局歴史的存在となってしまった。
朝日朝刊をみたら,「国立国会図書舘/天下りでない館長選びを」という投書が。「私の視点」だから特別扱いの投書。
うーん,はっきりいってタイミングおそすぎ。うん,だいたい35,6年ぐらい(・∀・)
国立国会図書舘の課題 / 磯村英一,松浦総三. -- 白石書店, 1979.10
これ古書モールで再度入手。数年前までどこにでも500円ぐらいで転がってた本だけど,なんかなくなってきてるねー。それに図書館史本は,早川さんところがジワーリと相場を上げてきてるから。
内容をほぼ忘れているので,パラパラみると,藤野幸雄(元図書館情報大学学長)御大が,国会図書舘史の時代区分論をやってる。うん,これは使える。けど,あの件に意識的に触れていないことも確認(・∀・)
本の中身は3部構成で,第1部がシンポジウム記録,第2部が館界人の提言集,第3部が資料類。
第1部の報告に,藤野幸雄(当時・国際文化会館図書室長)氏によるものがあり,これが使える。

時代区分(ほぼ10年ごと)

  1. 「金森館長の時代」 創立期
  2. 「岡部副館長の時代」 内部機構確立期
  3. 内部館長時代  「機械化導入時代」

読み直すのは,ほんと何年ぶりだろか。
本全体が左翼的色なのは,ま,時代として,時代区分論のほかにもいくつか面白い話が拾えた。
石井敦氏が意外にも,好評価してるとか(「率直にいって,迂(紆?)余曲折はあったけれど,ほぼこれまでの館界の提言や批判の方向に沿って変化してきたという感想をもつ」p.115-6)
国立国会図書舘職員の日本図書館協会役員引き上げ問題(p.86・叶沢清介)ってのは知らなかったし。
「図全協の組合活動」でそこと関係をもったという証言(山田直樹名古屋市立中村図書館)。図全協ってなんだろ?
児童書が館外貸出しされていたこと。「三一年四月から「図書の特別貸出規則」を定めて,民間団体,公民館・県立市立図書館等に五〇〇冊単位で団体貸出し(書庫狭隘に付)を行ったこともあったが,貸出し手続きの煩雑さ,人手不足,紛失事故等問題も多く,特に文化財としての児童書保存の観点から三四年度で中止した。」(p.176)
児童書の利用再開には,滑川道夫の投書(毎日新聞S43.5.17)が影響をあたえたこと。
めずらしいところでは,「使い捨ての消耗品」という題で「非常勤職員 Z」という人物が書いている。非常勤職員の勤務実態が,そこにかかれているようにあたかも女工哀史的悲惨さにみちたものであるかどうか,ということは全くわからないけれども(かなり違うような気が…),非常勤がなにか図書館関係の刊行物に執筆する例というのは稀。ま,2ちゃんねるにはあるのかもしれんが…
でも,さすがにただの左翼じゃないなぁと思ったのは,田中隆子・関東学院女子短期大学助教授(当時)の部分。天下りの原因になった件について,ほかのだれもが意図的に隠しているのに,はっきり書いてある。これは意外だった。

「国立国会図書舘を考える会」(1977.3〜)

この「考える会」についてまとめると…
館長職の“天下り”人事に反対していた国立国会図書舘職員組合のよびかけに,「多数の」学者,作家,ジャーナリストたちが賛成したことに始まるという。

(沈滞の)その最大の原因は,草創期の館長,副館長なきあと,後任館長の選任にあたった両院議員運営委員会が,衆・参両院事務総長経験者を交互に館長に就任させるという慣習をつくったことにあります。(略)館長の任期四年という慣行のために,(略)大構想をもち,地道な館運営をするということが殆ど不可能に(略)
一九七七年三月
国立国会図書舘職員組合

この運動はマスコミなどにもとりあげられ,五月に,衆参議長へ,天下り的人事慣行なるものを改めるよう「要望書」を提出したそうな。この要望は「結局は実現されなかった」。
翌年は国会図書舘創立30周年だったので,「考える会」がシンポジウムを開き,その記録集としてこの本が出版されたという次第。
この本によれば,館長職は衆参の事務局長の天下りポストで,4年交代ということらしい。ただ,それもすべて慣例によるものだそうな。
最後に事務局の実務者たちの名前がある。

阿部郁子 伊藤宏 岩佐美代子 小池恵子 小林繁夫 後藤暢 宍戸伴久 鈴木満佐子 住谷雄幸 千代正明 伴野有市郎 平川千宏 丸山泰通 山本幸子 一九七九年八月二〇日

なるほど。ってなにが(・∀・)