書物蔵

古本オモシロガリズム

シラバスから昭和20年代の資料保存論を引っ張りだす!

たとえば,どう使うか?
わちきの興味のひとつに,図書館における資料保存「論」があるんだけど,現行通用の図書館本だと,「日本における資料保存は1982年に始まった」とだけ書いてあるだけ。
けど,ちょっと考えれば,かなり怪しいことは分かる。資料保存実務はそれこそ上代から日本でもあったはずだし,実務があるのにまったく論がないってのもおかしな話。
では,どう考えるか?
だいたい今の省令科目にだって「資料保存論」なんて科目はないわさ。けど,図書館概論と図書館資料論の2科目にばらけて教えられてるはずなのだわさ。
ということは…
「科目とか教科書・単行本とかの形では残されていない」と思いつくよね。
だから,図書館知識の全体像を記述する本があれば,そこの項目レベルで書いてある可能性は極めて高いのだ。
ということで,十数年前に一度,調べてみますた。その時には,ようやく『図書館ハンドブック』の初版(1952年版)に断片をみつけただけだったのです…。
この度,ようやく,知りたいことがたくさん載っている本を入手できました。それが,このシラバスなのだ。
あるよあるよ! 「図書館通論」と「図書館実務」,それに「図書運用法」に資料保存の話が(ほとんどは項目だけだけど)ちゃんとある。
通論には物品会計,防火,盗難予防。実務には受入,保管,製本。運用法には接架方式や亡失の処置にいたるまで。ぜんぶひととおり。
これこのように,1982年よりも前の日本にも,資料保存論が(未組織の形だけれど)ちゃんとあるじゃないの!う〜ん,これで論文が1本かけちゃうなり〜 (・∀・)
〜〜〜
もっとはっきりいうと,酸性紙問題が解決して訴求力が衰え,電子図書館で足もとすくわれた(日本の)資料保存論を再建するのに,日本資料保存小史が必要なりっ(`・ω・´)
この前の日本レファレンス小史ばりにまた書いちゃおうか… え?「またゴシップか」って? うーん,こんなのはまだまだゴシップじゃないなりよ… もっといろいろ… えっ,いまわちきなんかいった?

12/11追記 シラバス

つくづく貴重な資料なりと思う。まぁ図書館行って全ページコピーすればいいんすけどね。え?これ多数著者の著作だってか? じゃ,各章の半分までね,って無意味じゃ… ってコピー制限がナンセンスじゃ反複写法。けどわちきには古本があるからね(・∀・) 法匪どもの攻撃をかるがるとかわせるのだ。法匪どもはせいぜい反複写法を拡大解釈でもして研究に失敗してくださいましな。