書物蔵

古本オモシロガリズム

石井桃子「子どもの図書館」(岩波新書)は二度と出ない?

聞いた話ですが,「ちびくろサンボ」が文中にでてくるだからだそうです。石井桃子全集に「子どもの図書館」はあるが,サンボのところだけカットされてるんだとか。いったいどんなふうにカットされてるんだろう。「○○○が,××して」なんてゆーよーに戦前内務省タイプなのか,削除がまったくわからない戦後GHQタイプなのか。
わたしは児童サービスは興味ないので,どうでもいいんだすが,「文庫活動(ボランティアが自宅で子どもに本をみせる)」のバイブルだった『子どもの図書館』。二度とでないんですねぇ。JLAの自由委員会はもっと怒るべきだよ。
岩波は,学術性と左翼性の2面があり,左翼性が前面にでると,当座はいいけどあとで恥ずかしいことになる気がする。もっと学術をしっかりやってほしい。サンボも,どちらかといえば,絶版にしたのはまちがいだったと思う。
これは私の意見だけど,基本的に言葉狩り(概念狩り)には反対。昨年,『アエラ』で「鮮鉄」が問題になったみたいだけど,「満鉄」同様それしか略称がないんだし(べつに「朝鉄」という私鉄があったらしい),もともと差別語じゃないんだから。
これはクレトモねただけど,シェイクスピア劇なんかユダヤ人差別の最たるものだよ。なぜ根絶されないのだろう。
(追記)
ちびくろサンボ』絶版を考える / 径書房編集部. -- 径書房, 1991.2  を神田の古書会館で立ち読み。いろんな意見が併記されているんで読みづらかった。心証としては,たとえサンボに差別性があるにしても,岩波書店社長の安江良介氏の「問答無用」的な反応はいただけないと思った。