書物蔵

古本オモシロガリズム

 『東京書籍館書目』のおそろしい偶然! 分析書誌学実践?

手に入った『書目』について,分析書誌的な来歴を。
残念ながら裏・背表紙はうしなわれてしまっており,そこの部分は補修です。表表紙のみがオリジナル。肝心のオモテ表紙が残っていてよかった。で,これでは記述はおわりません。
古本屋に電話したときから判ってはいたんすが,前の持ち主の書き込みがあります。ひとつは,これは,もう,あきれちゃってしょうがないんですが,正誤表にもとづいて前の持ち主が本文を訂正している,それもボールペンで!!!!(怒)
これについては,前の持ち主の意図がまったく不明,というか理解不能です。この,明治9年刊行の書目を,彼は実用品として使おうとしていたのか??? いや,断言できますが,これは実用品としての意味をおそらく明治の中頃になくしているのだ。
(おそらく一緒につけられた)明治9年の正誤表(末尾にあり)に従って,平成に本文を訂正する律儀さ,これを律儀というのか,バカ正直というのか,自動機械というか,わたしにはわかりません。
え? なぜ,「彼」とか「平成」とか言えるのかって? たしかに「彼女」「昭和」かもしれませんが,判るのです。なぜか。
書いてあるから…
えーっと,なになに…
勉強堂古書店/平成五年一月三十一日求む(一・五万)/赤○敏○蔵書
明治9年のレア蔵書目録にボールペン書き込みをするなぞという大罪をおかしてはいるものの,そのまえの持ち主の可能性や,武士の情けによって名前は全部かきません(あたりまえか)。
それで…
調べましたよ。古書店とご本人を。
で…
すごいことが判りました(と思ひたい)。勉強堂古書店は,おそらく勉強堂書店。
勉強堂書店 0242-25-2838 福島県会津若松市一箕町大字鶴賀字上居合175-7
というのも,赤○敏○さんの名前でググルと,会津若松の教会のHPへと導かれるから。
む?
会津?あいづねぇ。なんかひっかかるなぁ。えーっと。
ナント!
この書目を持っていた人で福島の人知ってるよ,って,この前書いた,宮本百合子の祖父じゃん!
わたしは北海道の店からネット通販で買ったんで,こんな楽しい妄想をいだけるとは思ってもみませんでしたよ。
そんなわけないだろーと思いつつ,もしかして,これがそうなのかも,と思うと楽しい毎日になりそうです。
明治16年,19年の東京圖書館の書目なら,結構,でまわってます。3,4万積めば,だれでもスグ買えますよ(そんな人いないか)。
けど,それよりレアな,明治9年の東京書籍館の書目が,それも,こんな楽しい妄想をいだけるものだったとは。なんとも古書の神様が憑いているカンジがしてきました(笑)。
ただ,肝心の,各分類の下での記入(entryね)の排列順は,不明!!!
なぜか,何度見てもワカラナイ排列なのだ(笑)。凡例にもその説明がないし。これは,じっくり分析せねばなりませぬ。ぬぬ〜ぅ。