書物蔵

古本オモシロガリズム

【掘出後日談】 古本合戦(ふるほんがっせん)


とあるところで掘り出し合戦をした。ある人が長澤規矩也(書誌学者)の『叱る』(NDLにもNIIにもないね)を持参。いろんなものが叱られているが,図書館も叱られてる。おもしろい。

むむ,さすが。それが売られてた場所(高円寺の会館)にわても行って,三回くらいまわったのに気がつかなかった。古書通とは,千里眼と見つけたり。要するに,その本の主題をタイトルでなく著者から類推すべしってこと。

これまで何冊かかった社会科文庫の総索引も拝見。社会科文庫は個人でなく学校図書館に売り込んでいたことなどが判明。なるほど。

そこに『書斎管見』もだしていろいろ話したら,その古本屋について,じつは実は,とっても有名な古書店だったということが判明。これは私が「今浦島」状態であることの証明ですな。ほんと,ここ4,5年ほどの自分って一体なんだったのでしょう。やっぱりいつの間にか自分を失っていたんですねぇ。

ただ誤解するのもしょうがない。わちきが行ったとこは支店(倉庫?)の方だったらしい。そういえば,近くにすごく洒落た画廊みたいな店があったなぁ。なんか不思議な経営法。そうそう,『図書館小識』の初刷りを買ったのは「五萬堂」です。初刷りと2刷りで装丁,料紙がちがってたってわけ。NDLの書誌はきちんとそうなってる。むかしのひと,えらい。

いまネットでみると,たしかに楠瀬日年の書道関係の本が高く売ってるよ。「書斎管見」は,書家の手すさびということで,意識的に安くつけてたんすね。あーびっくりした。わたしゃ,あれからおじいさんが店主さまに叱られてる図が頭に浮かんでしょうがなかったですよ。これで気が楽になりますた。

同好の士には教わることが多すぎ。自分が一番古書に熱中してた時代は孤独だったので,ほんととっても楽しいだす。時間があっというま。このまえ買った水谷不倒翁『古書の研究』と『古書価格の研究』が実質おなじって話もはじめてしりましたです。

卒論,古書・古書店について書けばよかったなと反省。当時はまじめだったから,役に立つものを書かないといけないかと誤解してた。

帰りは,行きに教えられて買った放送大学教材をパラパラと。おもしろし。

教育の社会文化史(’04) メディア等を題材にした教育史。とくに前近代と近代をつなげて論じているところが貴重とのよし。出版がらみなので,これも図書館現象本に認定。