書物蔵

古本オモシロガリズム

【掘出序曲】 古本屋は土曜に

古本屋は土曜日に

今日,土曜は古本日和(ふるほんびより)。なにゆえか。

古本屋にとっては,販売より仕入れのほうがずっとずーと大切だから。
古本は生産するってことができない。古本の増し刷りなんてありえなーい(復刻ってのは似ちゃーいるが)。極端な話,店を週に一度しか開けないって古本屋(キントト文庫金沢文圃閣など)もあるくらい。店を開ける余力があれば,仕入れ(宅買いや交換会,セドリ)に精を出すべきなんだろう。

それで,そんな古本屋がいちばん開いている曜日が土曜なんだ。日曜じゃ絶対ないところがまたスゴイ。

んで,昨日もいった古書会館へ。で,1冊買いました。学校管理法 / 鈴木光愛. -- 文学社, 明34.4 千円。あんまり高い本じゃないみたい。これ昨日きづかなかったよ。でもこれは今回の掘り出しじゃない,ある本を購入する参考に買おうかなと。姿かたちが似てるので(なに探してるのかバレるかな?タイトルそっくりだし)。

つぎに書肆アクセスへ。ここで装丁の本を買う。まえの立読みで,アジロ綴じのこと書いてあったから。アジロ綴じのワルクチをさんざしたんで,勉強すべきだなぁと(これは性格なんだけど,自分のワルクチは多分に好意がまじってることがある。ワルクチは当世の製本への興味をちょと復活させてくれた)。

装丁探索 / 大貫伸樹. -- 平凡社, 2003.8  前半はデザイン,後半は造本(構造)

この本,アジロ綴じについてまともに調査したはじめてなんだそうな。著者(オオヌキ・シンジュ)の銅販画口絵と栞がおまけでついてるよ。レジで在庫のほうがビニールがかかってるからってんで,そちらを売ってもらった。自分は後半を読むのが目的なんだけど(笑。

それからこの前いった不思議な,どうぞお気軽にの,地図と古本の店へ。

……。閉まってる……。土曜なのに……。

おそらく古書会館で即売会をやってるから,そっちへ行ってるんでしょう。古本屋ってのは,超零細,1〜2人でやってることが多い。だから即売会とバッティングすると,さすがの土曜でも開かないことがある。キントトさんも閉まってたのは,もしかして即売会へセドリ??? むむぅ,わからんす。

ぜんぜん掘り出しがでてこないじゃないか!と思うでしょ。では次へ。

仮性図書館本と真性図書館本

そこが閉まってたんでふらふらと靖国通り北の路地をあるく。すると… みたことのない古本屋が。むむむ,やっぱり通り北は最近すごいだす。って,ここ5,6年古本行脚から遠ざかってた自分が悪いんだけど。

ほの暗い店内は黒っぽい本で真っ黒(これは誉めコトバであるのは古書通ならばわかりますよね)。うひょひょ,わくわくしてきたよ。

平積みの山を丁寧にくずしていく,おお,こんなんオモシロそーじゃないすか。

さいしょに最近きをつけている「社会科文庫」の一冊が。生活科のいのちは10年,社会科はもう60年くらいつづいてる。このシリーズは,すばらすぃーのですよ。というのも索引つきだから。

映画 / 瓜生忠夫. -- 三省堂出版, 昭和24. -- (社会科文庫 ; E 9)

図書に索引はつかないもの,と日本では相場が決まってますが,米国で,まともな本ならばついてますよね。この,索引がない,ってのが,書物通や図書館員に「日本の後進性」をなげかせるもとになった時代がありやした。でも,このシリーズがほんとにすごいのは,索引に「索引のつかいかた」がついていること。これのどこがスゴイのか。全然つかいかたじゃなくて(笑),索引の意義について2ページにわたって語っているところなのだ。

これぞ,図書館現象。ゆえにこれは図書館本なのだ。さらにこのシリーズは,AからGのサブ・シリーズにわかれるけど,G. 伝記・資料・雑 には,なんと「G5 総索引」の巻があると聞いた。この巻にはたして,索引だけでなく,索引の意義についての詳説があるのかないのか,とても知りたくなってきた。

で,山は見たんで,書架を順番にスキャニング(なめるようにみていく)。すると,でました,図書館本。

図書館小識 / 和田万吉. -- 増訂. -- 丙午出版社, 大正11

これ,2冊持ってるんだよなー。けど,安めだし(3千5百),函つきだし,なにより装丁がちがうから欲しくなっちった。いわゆる「元パラ」がついてたのにもビックリしたし。

と思ったって家に帰ったら,同じ増訂でも厚さがぜんぜん違うんですけど。料紙の厚さのちがいかなぁ。それとも…。これは要調査ですね。それはまたの機会に。

東京の水売り / 東京都. -- 東京都, 1985.3. -- (都史紀要 ; 31)

も読みたかったんすよ。5百円。「水屋の〜水道普及に伴う衰退過程」(はしがきより)ってコトバに萌えました。衰退ってひびきがイーねぇ。