書物蔵

古本オモシロガリズム

昭和のおサボり事情

「二足の草鞋」という表現ないし生き方が気になって、ふとコミガレ3冊500円で手にした次の本。いろいろ面白い情報がある。

  • もう一枚の名刺を持とう! / 山田智彦 著. 読売新聞社, 1998.9

https://www.amazon.co.jp/%E3%82%82%E3%81%86%E4%B8%80%E6%9E%9A%E3%81%AE%E5%90%8D%E5%88%BA%E3%82%92%E6%8C%81%E3%81%A8%E3%81%86-%E5%B1%B1%E7%94%B0-%E6%99%BA%E5%BD%A6/dp/4643980826
たまたまデパートに10分寄ったら、別の上司(支店長代理)に見つかって、それが直属の上司、野中徳次という係長から叱られた際の話。

「早く帰ってきたって別にかまわないさ。それにのんびりするなら、自分の地区内の喫茶店でも何処でも、お客さんの店へ行ってればいい。それだったら、見つかったってとやかく言われることはなによ。デパートじゃ話にならん」
と係長は言った。
まさにその通りである。先輩たちはサボるときは担当地区内の取引客の店で長居する。私にはそんな経験はないが、冬の寒い日など、お客さんの家に上がり込んで炬燵に入り、半日出てこない猛者までいる。(p.40)

その係長は「部下たちから慕われる理想的な上司であった。」のでこんなお叱りになったのだという。
著者は「上司」というものを5つに分けて、野中係長を上司にも部下にもよく同僚にもいい稀有な人だったと述懐する一方、支店長代理を「1)上司にはよいが、部下には悪い人間――あまり感心しない」と位置付けていて面白い。
大人になって大きすぎる組織に属して初めて目の当たりにしたが、かういふ人って、ホンタウにゐるのよ(´・ω・)ノ
それはともかく、これで思ひ出したケド、親が日掛けかなんかで積み立てだか支払いをしてゐたんで、取引銀行の中尾さんがよく来てたなぁ
親が親切なもんだからコーヒーなどを出して、よく世間話をしていってたっけ(*゜-゜)
今から考えると、当時、長時間拘束されてゐたのになんとかなってたのは、そういった出先で親切なところで適宜、息抜きしたりしてゐたんだなぁ…(゜~゜)
逆に、さういったことを適宜できない人は、いきづまっちゃってたのだらう。

4.3追記 「二足草鞋」ないし「二足の草鞋」といふ表現の起源

いまざっさくプラスを参照するに大正期からの表現であるらしい。明治期に見当たらず。