書物蔵

古本オモシロガリズム

利根川樹美子『大学図書館専門職員の歴史』の書評

きのふ、いつものやうに高円寺に行ったら古本者が集まってお茶会となったのぢゃが、最近出た本が話題になった。

ブログでOBA氏が次の本を書評してゐた。
http://tsysoba.txt-nifty.com/booklog/2016/02/post-1a10.html
これによると、本としての出来はいまいちだが主題はオモシロというところ。
本自体でなくOBA氏の書評で気になったのはつぎのとこ。

〜いかに「貸出中心主義」が、様々な建設的提案の推進を阻む役割を果たしたが繰り返し論じられている。大ざっぱにまとめると、ここでの「貸出中心主義」とは、図書館サービスの中心を資料の貸出に置き、情報サービス的側面を軽視する考え方と、もう一つ、現職者は現状のままで専門職であり、新たな資格や教育制度等は不要とする考え方の双方を指している。その双方が渾然一体となって、図書館における専門職に関する議論を混迷させた事例が、繰り返し本書では紹介されている。

利根川が2つのベクトルを「貸出中心主義」と呼んでいるのかな? それとも書評子の分析なのかすら…(。´・ω・)?
それはともかく、貸出至上主義に2つのベクトルを見るのはオモシロである。
あと、書評で、人文社会系における蔵書囲い込み主義(研究室や部局図書室など)が、結局、組織的な人文社会科学研究を不要と思わせてしまったのでは、というのもオモシロぢゃ。
書評の最後で「『岩猿敏生の挑戦と挫折』(敬称略)みたいな新書サイズの一般向けの概説書を」とOBA氏は望んでいるが、これは昔からわちきが概説書なぞ書かずに『岩猿敏生、見たまま聞いたまま』を書くべきとつねづね友人らに言っていることと同趣旨と見た(゚∀゚ )アヒャ
岩猿先生、じつは図書館史研究に於いても、役に立つ図書館史(=為にする図書館史)の立場をとらず、イチバンまともであ〜る。