書物蔵

古本オモシロガリズム

赤本(1954-)とは何か

赤本には江戸期のもの、戦前から戦後にかけてのもの、そして受験参考書としての赤本の3つがある。

世界思想社教学社/年間200万部発行の“赤本”. 新文化. (2912) 2011年11月24日号(4面)

創刊は1954年。当初は京都大学大阪大学神戸大学同志社大学立命館大学の3点。かならずしも赤色の表紙ではない。1970年代に300点以上に。この頃までに表紙が「柿色」になった。1990年代後半が最盛期600点。現在は521点(372大学)。平均部数は3000部強。人気校は学部合計で数万部。これまの累計部数は「数えたことがないので分からない」という。近年は毎年200万部ほど。

なーるほどである。このようなちょっとした記事があとから見つからなくなっちゃうんだよねぇ。誰でも一度は使ったり見たことがある本だけど、基本は使い捨ての本の類型についてはね。
あと出版者自身が、部数を必ずしも(少なくとも過去のものは)管理してないという事例でもある。

赤本のバックナンバーに生じるニーズについて

さっそく森サンが教えてくれたが、一過性の価値しかないと思われるこの赤本に、中期的な価値があるという。次の記事を見つけた。

  • 「昔の「赤本」意外な需要 「一橋大2004年版」は定価の17倍」『週刊アエラ』2010年12月27日 p.53

水道橋にある赤本専門の古本屋、山口書店に取材している。それによれば、山口書店が赤本を扱い始めたのは30年ほどまえとか(つまり1980年前後)。直近の過去問と同じ傾向の問題は出ないが、中長期の過去の問題は出やすいとみて過去十数年分の問題をチェックしたい人にかなり高くても売れるのだそうな。どーりで山口書店、ふしぎな品揃えしてると思ったよ。

国会図書館に創刊当時のものはないよう

すぐ落ちるというウワサが浸透しつつある国会さんのOPACをみると、創刊当時のものは保存されてないようである。サイニーブックにもなくNDLサーチにもなし。どこにも残ってないのかすらん。まぁここまで古くなると上記の中期的実用価値はないだろーけど。
逆に大学史とか高等教育史的な価値はあるかな。偽学生マニュアルの代替資料になるか?