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古本オモシロガリズム

佐藤優氏の「『図書館司書』は出版社、書店でご奉公」を読む。【2】

佐藤優氏の「『図書館司書』は出版社、書店でご奉公」を読む。
http://d.hatena.ne.jp/shomotsubugyo/20120224/p1

の続きね。
これを読んだからでもある。
http://b.hatena.ne.jp/entry/kesutora.blog103.fc2.com/blog-entry-526.html

で、きちんと読み直してみた。

も一度、佐藤氏の記事をきちんと読んでみた。
きちんと、とは、評論家流の、「〔公共〕図書館や大学図書館が、ガン細胞に転化しつつある」といった、ドッキリするような表現は捨象して、どんな論理構成になっているのかを読むとゆーことである。意見が違う人がたち現れた場合に、「なんで違うんだ! バカヤロー」と思うのもよいけれど、まあ、フツーは冷静に分析したほうが得ぢゃ(o^ー')b
それから、これはレファレンス・トランザクションにおける技法のひとつだと思うけど、基本的に相手の意見や思い>思い込み>偏見にも耳をかたむけることが大切ということもある。相手の間違った判断をぶしつけに指摘してユーザを怒らせるというのは、接客業としてはあまり感心せんね。

記事の内容構成

<前提>

  1. ベストセラー複本貸出しで、作家、出版者、取次ぎ、書店が「割りを食って」いると佐藤氏はみなしている。そしてこの「指摘は、以前からなされている」。
  2. 「図書館関係者は、問題の深刻さを皮膚感覚で理解していない」と佐藤氏は思っている。

ゆえに
<提言>

  1. 司書課程で「出版社、取り次ぎ、書店での奉公(無給研修)を義務づける」ことで「司書に皮膚感覚で(問題の深刻さ)を知ってもらう」ことができるだろう、と佐藤氏は思っている。

<きっかけ>

  1. 「私は、(略)インターネット古書店か古本を頻繁に購入する」が、「過去2、3年の間に図書館から除籍された古本が飛躍的に多くなった」と佐藤氏は気づいた。
  2. 自分は安く本が買えて得しているが、「日本の知的水準を確保するために、図書館が所蔵していなくてはならない本がある。」
  3. 「本の価値を理解する基礎教養のない人が図書館司書をつとめているから、学術書や専門書の大量廃棄が行われているのだと思う。」

<理由>

  1. 「図書館員の意識改革が進まないと、(略)10年後には日本人の知力が低下してしまう」と佐藤氏は思うから。

わちきの感想

わちきは、実は<提言>には賛成である。ってか、これは昨日、高円寺でコーヒーを飲んだときの話し相手の意見なのだけれどね。出版業界人が司書になったり司書課程教員になったりすればよい、と言ったら、相手は「出版人は図書館人になりたがりませんよ」と。。。(*´д`)ノ ならば、司書課程に出版実習を組み込むしかないかと。
前提1には不賛成だなぁ。出版不況を創れるほど、日本の図書館は力ないすよ。それにタダでしか本を読まない人のほとんどは、定価はらってまで読むとは、わちきは思わんなぁ。ただ前提2には賛成。
きっかけ1については、古本者としてはそのとーりと思うけど、きっかけ3については、基礎教養がない人々がクラーク司書をしているという前半はいいけど、だから大量廃棄している、というのはいささか疑問。むしろ、物品会計制度の運用が変わって廃棄が見えやすくなったということなのでは。
きっかけ2は端的にいって選書における「価値論」。
最後の理由は。。。
こりゃあ、モノスゴイことが書いてあるよ:(;゙゚'ω゚'):
だって、論理としては、

司書の意識改革が進めば、日本の知的水準が維持できる

との主張ぢゃないの(σ・∀・)σ
あー、びっくりした(;´▽`A``
ってか、やっぱり佐藤氏はストック読書派で潜在的図書館支持者なんだなぁ。