書物蔵

古本オモシロガリズム

ついつい読んでしまった西村賢太は古本小説だった

ふだん小説をほぼまったく読まないわちきなれど…
昨今の大震災、それに伴う玉砕命令でうつうつとしたのでついつい芥川賞作家の小説なぞ読んでみた。

小銭をかぞえる

小銭をかぞえる

このまえの金曜だったか近場のイトヨーの本売り場にならんでいたのをヒョイと買った次第。
読んでみたらこりゃあ古本小説じゃないの(゚∀゚ )
ってか、この主人公(ほぼ作者自身)ってば、こりゃーものすごい御仁。
親戚、知人、友人にいたら絶対に困る御仁だなぁ(・∀・`;)
「本のためなら女も泣かす」といったアンバイの、ドメスティックバイオレンス男が主人公で。
いまの男女平等フェミ主義者が読んだら卒倒もの。
ただ、個人的にはそれなりに失笑しながら読み進むことができた。途中で古本小説とわかったからでもあるが、やはり賞をとるだけあって、
ネットのどっかの評論で、この人物は、ありとあらゆる面でダメだが、小説を書くという一点においてのみ誠実であるとあったが、それは事実だ。
とくに主人公のネガティブな感情が冷静にトレースされとって、「あゝ、かういった感情ってば、(わちきも)若いころハ、かようなる理路をへて沸々とわいてでたものだなぁ」と妙に感心してしまった(^-^;)
自分(だけ)は偉いとか、自分(だけ)は正しいとか、自分(だけ)は間違ったことをしないとか、自分(だけ)は卑しいことをしないとか、じつはほとんどの人間が無意識的に信じてをるものだけど、たまには、自分にもさういふ感情はあるなぁと気づかせてくれるのがイイね。