書物蔵

古本オモシロガリズム

ここにも満鉄図書館員が

オタどんが、またも秘儀「日記読み」の応用で戦前図書館員を発掘してきておる。

親切すぎる板垣一二三満鉄営口図書館長
http://d.hatena.ne.jp/jyunku/20110321/p1

板垣一二三(ひふみ?)という人は、図書館史上、そんなにすごいことをしたわけではないようだが*1、それなりに堅実に、満鉄図書館で司書や図書館長をやっていたひとらしい。『満洲読書新報』の読者でもあったようだ(総索引にでてくる)。
オタどんの調べ*2によれば、

板垣一二三 営口図書館長
[出生]明治33年7月 [本籍]小倉市木町 [学歴]大正12年明大専門部商科卒
[経歴]大正14年8月満鉄入社、大連北公園・本渓湖・近江町各図書館勤務、埠頭・大連各図書館司書、瓦房店図書館長を経て昭和12年11月現職に就き、同12月退社、引続き在任す

とのこと。上記で、「同12月退社、引続き在任」というのは、1937年12月に満鉄附属地の行政権が満洲国に委譲されたことの反映だろう。つまり、板垣は営口図書館長のまま、満鉄社員の身分から満州国官吏の身分になったということだろう。
オタどんは「この板垣は戦後無事引き揚げただろうか」と言っているが、無事、引き揚げることができたようだ。
昭和30年の『全国図書館職員録』に
九州大学図書館、事務職員司書として

板垣一二三 男 55 小倉市東宮ノ尾1105

が出てくる。名前のめずらしさや年齢からいって、同一人物である。

*1:石井敦「先賢事典」になし。「図書館雑誌」の索引にもなし。

*2:『第三版満洲紳士録』(昭和15年12月)