書物蔵

古本オモシロガリズム

増田七郎(1905-1943)のbio-bibliograpy

この人は一言でいうと、国文学者にして司書。国文畑での業績はいさしらず、図書館史的には図書館の「日本的」論争の先鞭をつけた人。ただし、この人についての研究はまだない。森やうすけ氏いはく

大和資雄、「屠れ米英われらの敵だ! 分捕れ沙翁もわがものだ!」と唱へた英文學界におけるあの人物に圖書館界で相當するのが、増田七郎だと見做せるのではありますまいか(ちょっと烈しさが足りないけども)

とぞ。
わくわくo(^o^o)ワクワク

bio-bibliograpy 編年順 [ ]内は典拠文献の著者名と出版年

1905.4.29 新潟にて出生[履歴1944]
1918.4 東京高等師範学校附属中学校入学 [履歴1944]
1922.3 東京高等師範学校附属中学校第四学年修了 [履歴1944]
1922.4 浦和高等学校文科乙類入学[履歴1944]

  • 「風の吹く日」『君と僕』(3) p.?-? (1923. 3) ※同人誌か?
  • 「飯島の話」『君と僕』(4) p.?-? (1923. 5)

1925.3 浦和高等学校卒業[履歴1944]
1925.4.1 東京帝国大学文学部国文学科入学[履歴1944]

  • 「日本文学の外国訳について 上」『読売新聞』(1927.2.7朝)p.4
  • 「日本文学の外国訳について 下」『読売新聞』(1927.2.9朝)p.4
  • 「宮森先生に」『読売新聞』 (1927.2.21朝)p.4
  • 瑤沙 正月創刊号 大正14年12月 発行 古櫻千木 瑤沙社(埼玉県浦和町浦和高等学校内)

1928.3  東京帝国大学文学部卒業大学院に入る[実業1955]
1928.3.31 東京帝国大学文学部国文学科卒業[履歴1944]
1929.2.28 東京帝国大学附属図書館事務取扱を嘱託し手当一箇月金八拾円給与[履歴1944]

  • 「正式に入館するやうになつたのは、昭和四年一月だつた。爾来増田君と僕とは、同じ部屋に机を並べるやうになつて、ここに十五年経つた」[土井1944]

渡辺, 霞亭 (1864-1926)‖ワタナベ,カテイ旧蔵「霞亭文庫」の整理。著者カード、分類カードを作る[土井1944]

  • 「「鴎外全集」に望む」『読売新聞』 (1929.6.11朝)p.4

1930.12.27 自今手当一箇月金八拾五円給与[履歴1944]
1931.5 豊子(陸軍大将尾野實信次女)と結婚 媒酌人文学博士姉崎正治夫妻

  • 「假名手本忠臣藏」に就て / 増田七郎 [著]. -- 岩波書店, 1931. -- (岩波講座日本文學)
  • 「批評と紹介」『読売新聞』 (1932.7.29朝)p.4
  • 「図書館から」『読書標』(76) p.541,543 (1933. 3) 知人仁科, 春彦 (1892-)翻訳家?の帝国図書館の混雑をなげく投書(1933.2.28)に答えた投書(1933.3.4)の転載。「日本の図書館の冷遇ぶり」を訴えるうえでも、クレームは「たふとい」という。

1933.7.31 東京帝国大学附属図書館事務取扱を解く[履歴1944]
1933.7.31 任東京帝国大学司書 給四級俸[履歴1944]

  • 紅葉山文庫書物奉行」『読売新聞』 (1933.9.7朝)p.6
  • 「洒落本七段目(発見と報告)」『文学』1 (9) p.?-? (1933. 12)
  • 沼沢竜雄編「日本文学史表覧」の一使命」『読売新聞』 (1934.10.24朝)p.11
  • 「野村望東尼とその歌(愛すべき詩歌と詩人)」『むらさき』1 (7) p.?-? (1934.11)
  • 「伊原敏郎著『明治演劇史』(新刊紹介)」『文学』(2) 4 p.?-? (1934. 4)
  • 「文学の女性についての断想(内外文学に現はれたる女性に関する感想)」『むらさき』2 (1) p.?-? (1935. 1)
  • 「花にちなむ五人の女性(花の文学)」『むらさき』2 (4) p.?-? (1935. 4)
  • 「軟文学の先達・尾崎氏の「江戸小説研究」評」『読売新聞』 (1935.4.24朝)p.11
  • 「江戸時代の女流詩人、雪の夜に人をあはれむ蓮月尼、ほととぎすの一声をまち明した加賀千代女、十六夜の月に才をうたった井上通女、勤王女性として気を吐いた野村望東尼(女流詩人の群像)」『むらさき』2 (6) p.?-? (1935. 6)
  • 「淀の下り舟―西鶴「胸算用」から―(名作短編小説集)」『むらさき』(2) 7 p.?-? (1935. 8)
  • 近松の作品に現れた女性(物語の女性)」『むらさき』(2) 10 p.?-? (1935. 10)
  • 「伊藤正雄著『心中天網島詳解(新刊紹介)』」 [自然の文学] 『文学』3 (8) p.?-? (1935. 8)
  • 「行届いた編纂の室町時代短編集」『読売新聞』 (1935.12.24朝)p.13

1936.4.30 給三級俸(東京帝国大学司書)[履歴1944]

  • 「恩師群像(国文学者随筆集)」『むらさき』3 (7) p.?-? (1936. 7)
  • 仮名手本忠臣蔵の特徴」『歴史公論』5 (12) p.?-? (1936.)
  • 赤穂義士劇としての「假名手本忠臣藏」の特徴」『歴史公論』5 (12) p.?-? (1936.?)
  • 「いろ//の事」『日本古書通信』(77) p.?-? (1937.4)

1937.10.26 上田萬年(1867-1937)没。病床の上田に米国行きを報告 増田[1944]
1938.春 LCへ招聘。ロックフェラー財団による。日本語図書(3万冊)目録作成のため2ヵ年の予定。「風邪をこぢらせて肺炎を併発、つひに断念し」[増田1944]「議会図書館に行つて働くことになつてゐた矢先に一度は肺炎を起こしてだめになり」[土井1944]

  • 「カードの穴から世間を覗く」『日本古書通信』 (96) p.6-7 (1938.3)※本文は増田四郎。七郎の誤植か。目次は七郎。七郎であることは、『出版年鑑』(昭和14年版)p.46と増田[1939]から確実。「各官庁に於いて率先して文庫図書室を整備せられ」「知識階級人」に図書館を認識させることが大切と主張。奥付に原綴や書名読みの記載を要望。
  • 専門図書館(鉄箒)」『朝日新聞』(1938.6.23朝)p.3

1938.10.31 文官分限令第十一条第一項第四号に依り休職を命ず[履歴1944]
1939.4.30 復職を命ず[履歴1944]

  • 「図書館の話」『学苑』3 (6) p.17-? (1939.6)
  • 「時局と図書館(鉄箒)」『朝日新聞』(1939.7.22朝)p.3

1939.9 欧州大戦勃発で2度目のLC行き計画が中止に 一度目は肺炎で中止 「当時の増田君は落胆してゐた」[土井1944]

1940.春 LC行きの「話が再燃」1ヵ年の予定 [増田1944]
1940.7 在外研究員の辞令(文部大臣から) [増田1944]
1940.12.28 給三級俸(東京帝国大学司書)[履歴1944]

1941.12.8 「あの時のすがすが/ しい心持は他の人々とはおのづから別のものがあつた」[履歴1944]

  • 「人形淨瑠璃斷想」『帝國大學新聞』(昭和17年6月8日) p.?-? (1942.6)
  • 「東大図書館から」『図書』(81) p.?-? (1942.10)
  • 「日本的分類についての偶感」『図書館雑誌』36(12) p.? (1942.12)
  • 「専門書店・目録の分類・親切心」『読書と文献』3 (1) p.?-? (1943.1)
  • 「悪書排斥(東京朝日)」『書物展望』13(1) p.?-? (1943.1)

1943.1 古事記展覧会(日本文学報国会主催、会場:東大)委員「寒いのにせきをしながら動き廻つた」[土井1944]
1943.3 甲府に小旅行「部屋の者十人ばかりで」 [土井1944]
1943.3 『国文学叢話』日本文学報国会に原稿を書く [増田1944]

  • 増田清三追悼録 / 増田七郎編. -- 増田義彦, 1943.5

1943.7末 杏雲堂病院入院[土井1944]
1943.11 『東京新聞』に文楽がらみの投稿[土井1944]
1943.12初 面会謝絶の状態に [土井1944]
1943.12.29 11:50p.m. 七郎病死(気管支拡張症[土井1944])(享年39)

  • 増田七郎氏死去」『読売新聞』 (1944.1.7朝)p.3
  • 朝日新聞』(1944.1.7朝)p.3 広告欄に告別式の広告 姉崎や市河三喜らの名前あり

1944.1.8 告別式(築地本願寺)土井も弔辞[土井1944][朝日1944.1.7朝] ※JLA代表として中田邦造も列席『図書館雑誌』p.64(1944.2)

  • 「夢から夢へ」『国文学叢話』日本文学報国会 青磁社 昭和19 p.376-378 ※昭和18年3月、という記載
  • 国語史・国語学史・文法篇 ; 1, 2, 3. -- ゆまに書房, 1992. -- (書誌書目シリーズ ; 31 . 近代国語学書目・解題選 ; 第3-5巻) 国語芸術参考書目(増田七郎)あり

増田七郎についての文献

じつはこの時期の東大附属図書館における目録担当の生活が、つぎの回想録にでてくる。増田もちびっとだけ出てくるよ。

  • 二十世紀を生き抜いた親と子の人生 / 佐藤邦一著. -- 文芸社, 2005

使用した書誌・DB・サイト

関連 図書館の「日本的」論争

木寺相模「図書館の「日本的」といふこと」『書物展望』11(4) p.92- (1941.4)
「日本的図書館、専門図書館といつたやうな題目で一つの意見を持ち折にふれて本誌その他にも発表し、賛同者も多かつたように思ふ」[土井1944]