書物蔵

古本オモシロガリズム

JLAの図書館記念日解説に疑義、ますます増大す!

猫猫先生のひそみに倣ひ、意見より事実を、のパクリで、意見より文献的根拠を、意見より書誌を、をモットーのひとつにしてをる。
おとといからのわちきの疑問は、

新記念日(4/30)の制定には、2006年にいつのまにやらJLA事務局が書いた解説にあるような意味があるのか?

というもの。ここでの意味合いとは、旧記念日(4/2)を否定するため新記念日を定めたのだ、という意味なわけだが、ほんとうにそんな意味合いが議論されたのだろうか?
事実を直接見聞できない場合には、文献にあたるしかないわけで、文献にあたるには、新刊書を買ったり、古本を買ったりでもあたれるわけだが、わちきとて無尽蔵にカネおよび書架があるわけもなく、なんとなんと、拙ブログにはめづらしく、文献をレファーするための社会的装置とされる図書館なるものに行ってみましたぞよ。
図書館本を蒐集対象にしてをきながら、図書館を(あまり)使わないのは、こうやのしらばかま。
あたかもよし、指定管理者で成功例となった千代田図書館に行ってみますた。
開架にあったJLAの正史『近代日本図書館の歩み』(1992)にあたると…
じつは戦後の図書館記念日についてはあんまり詳しく書いてないが、184-185ページに記述がある。そこには1971年12月号『図書館雑誌』広告が転載されていて、4月30日が新しく図書館記念日になったということが宣伝されている。そして、そこには戦前の記念日については、

既に事実上消滅しております。

ときわめてそっけない説明がついているだけ。
一方でこれを転載している正史の本文中では、

なお、戦前の「図書館記念日」(四月二日)は、ここに正式に消滅した。

とあるんだけど、1971年当時の議論(の経過、とくに戦前記念日について)がぜんぜん記述されとらん。
だいたい、転載されとる1971年の広告自体が、「事実上消滅しております。」という、なんとも極めて消極的な説明をしているだけぢゃないすか(゚∀゚ )
だいたいマジメな左翼人たる清水正三氏が、新記念日制定から5年ほどした1976年に、反天皇制には触れずに、1950年図書館法擁護の文脈で新記念日はできたのだと記事に書いている。http://d.hatena.ne.jp/shomotsubugyo/20051202
日本図書館・図書がらみトリビアの宝庫たる、『図書館用語辞典』でも、1971年5月26日に全国図書館大会で制定されたことと、1950年図書館法を記念して、とあるだけである。
ちなみに正史の上記とは別の箇所、178ページでは、図書館協会が80周年を迎えたのを期に、とちょっと違う文脈を書いている。清水正三の文脈解説では、そんなのんきな理由ではなく、文部省が図書館法を廃止(して社会教育法の一部に)しようとしたから、その反対運動として、新しい記念日を作ったのだ、としているのだが。
とりあえず、新記念日制定に反旧記念日の意味合いはかなり薄い可能性がますます高まった。
あとは1971年5月の図書館大会の記録にあたるしかないねぇ。