書物蔵

古本オモシロガリズム

やっぱりスゴイぞ『図書館用語集』(1982)

友人からさきつる本を譲ってもらう。
そのそもこれを知ったのは、なにげなく『図書館用語集』(1982)をパラパラを見ていたときのことで。昭和前期の読書指導は、「読書会」という形式をもって行われ、中田邦造なんかがその主唱者のひとりだったわけだけど、なんとまあこの『用語集』、読書会については「読書会」、「読書会活動」、「読書会機能」、「読書会論」などと4つも立項し(乱立?)、それぞれ小項目主義にしてはかなり詳述し、さらにさらにレファレンスがつくという充実振り。昨今の図書館本、図書館言説(含.ブログ)はレファレンスがなかったりして、困ったものである。これではレファレンス・サービスなどやる資格はありませぬ。ってそれはともかく。
この最後の「読書会論」の最後に戦時中の論争が解説されていて、こんな記述が。

戦時中文部省および日本図書館協会が制定した「読書会指導要綱」(1942)に代表される多くの読書会は、指導者の指導性を重視し、(略)当時、このような読書会に対して矢川徳光(やがわとくみつ)らが批判している(「ある体験によせて」『青少年の読書』厚生閣 1943)。(p.408)

で、このレファレンスが幽霊参照なんだわさ。こんな本はない。
矢川徳光教育学著作集. 第6巻 にある矢川徳光著作・論文目録にも見あたらず。
それで困っていたら、昭和19年の文献リストで正しいタイトルがわかり、探したところ県立図書館にしかなくて、古書市場にないのだった。
しかし、こんな装丁だったのね。某県立図書館でみたこの本にはカバーはなかったから。