書物蔵

古本オモシロガリズム

「あり方検討」というコトバ

この前、都道府県立の機能モデルがないって言ったときに「どうすべぇ」を多用したけど、これはわちきの言い換えで、「どうすべぇ」というのは、なぜだか定型句となっている「あり方検討」のこと。
わちきがこの「あり方検討」という複合語を最初に意識したのは、数年前の都立図書館の再編で、この語をちぢめた「ありけん」というコトバを聞いた時であった(これは後に「14万冊廃棄(処分)」として反対運動が提唱された)。
館界的には、この、都立の再編、1次、2次の「あり方検討委員会」の活動をつうじて「あり方検討」というコトバが一般化したんだろうけれど、このコトバって、館界語なのか一般語なのか?
って、こんな時、何を参照するかというと、国会会議録ね。

会議録を… ってまたですか

制度、まじめな話。ふまじめな話題のまじめな議論ってのがあるから、一応硬軟とりまぜて話題はあるし、なにより、ここ60年にわたって横断的にテキスト検索できる数少ない無料サイトなのだ。
ほんとは新聞記事なんかもいいんだろうけど、テキストレベルだと1980年代の後半ぐらいからしかこの世に存在しないし、それに、ネットってつねに「いま」と「むかしのことに関する今の流言浮説」しかない世界だからなぁ。
そうそう。適度に口語なのもよくって、実は国語史などでのコーパスになりそうな気も。なんでもかんでもごっちゃにテキスト化したのが逆に、よかったといえるのだねぇ。
そーゆー意味では、戦中戦前の帝国議会速記録の遡及入力が、財政判断としてはまったく正しくも、テキスト化され(てい)ない風であるのは、これはこまったもの。これじゃあ、ほんとうに政治史の研究にしか使えないじゃありませんか。国会が財務省を説得(だます)のに失敗したのか、それとも国会自身が、豊穣なる目的外使用を断絶せんと動いたのか。それともなにも考えてないのか。

話をもどすと

「あり方検討」で引いてみると、やっぱり平成4,5年あたりから、おもにお役所の組織改変がらみで使われるようになったコトバだとわかる。どっちかといえば、制度やマジメ論のタームなので十分のサンプル量ヒットする(逆にたとえば「キャバクラ」というコトバを引いてみると、サンプルが少なすぎ、全体の傾向をみることがむずい)。
なるへそ。都道府県立の再編バナシというのは、じつは大枠としては、日本全体の人口減少、経済的衰退の一環としてできているのですな。これは、時の政府・知事が悪だから、などという都合のいい理由で説明するのは、かなりくるしい。
基本的に右肩上がりだった「戦後」ではなくなっているからこそ、再編となるのですなぁ。

参考

都道府県図書館の統計 図書館雑誌2007.8 p.516-7
全62館 1館平均63万5千冊