書物蔵

古本オモシロガリズム

まんが研究から浄化令をみると

内務省が出した通達「児童読物改善ニ関スル指示要綱」(1938)
この、児童読物浄化令だけど、マンガ研究のほうでも言及されているらしい。
夏目フサノスケ氏のブログに引用されていた。

4)〈成長〉の要請、感情表現の抑制ー児童読物統制の論理ー
昭和13年10月末「児童読物改善ニ関スル指示要綱」通達 当時の先進的教育理念 「左翼的」な児童文学者・知識人の協力による論理→ 戦後の「悪書追放運動」の論理
指導的な人物も同一だった(波多野完冶、菅忠道、滑川道夫など)
(略)
「児童読物指示要綱」については宮本「マンガと乗り物〜「新宝島」とそれ以前」『誕生!「手塚治虫」』朝日ソノラマ 98年 など参照
http://blogs.itmedia.co.jp/natsume/2006/09/post_12a9.html

夏目氏のまとめでは、児童浄化運動の人々は、ファシストなぞではなく、左翼的・先進的であり、それは戦後の悪書追放運動にそのままつながってくる、ということなのだろう。
児童文学系の人々は、むしろ浄化運動や読書会運動の連中を一律にファシストとして非難し、戦前戦後をわけて考える傾向にある。
マンガ研究は、マンガ自体が、文字系(つまり児童文学)の連中に悪書追放などで迫害されたせいか、ちょっとちがう視点にたっているのだなぁ。
この、「浄化令」ついては、あるオモシロ重要本を入手できたら再論予定。