書物蔵

古本オモシロガリズム

「マンガと図書館」研究

なにやら九州と京都でマンガの集いがあったらしいですの。
u-senさんが「マンガと図書館」の関係について書こうかすら、とおっしゃっているのでわちきもオモシロがってちょこっとメモ。ただ、わちきは「エロ本と図書館」については国内屈指と思いますが(ほかに言説が全くないので)、「マンガと図書館」についてはあんまり。これについては同人誌界に先行文献があるのと、ネットではいま、myrmecoleonさんが「(マンガの特殊領域たる)同人誌と図書館」について、デッサン的だけどカナーリしっかりした論考を展開中ですじゃ。
マンガと図書館については、数件しか先行文献がないので、いまちょうど「書き得」のころあいですなぁ。
参照する手間がすくないし、いっぽうでマンガ研究そのものは、蓄積がすすみつつあるためその良質なものを参照しやすい。
わちきはせどりでいそがしくて(・∀・)書く気にはなりませんが、いくつかヒントを考えると

図書館とマンガ研究の論点

 法学・政治学:財政民主主義(納税者と利用者は違う)とか
 図書館学の選書論:価値論と要求論(と目的論)とか

  • マンガはどの程度、図書館に入っているのか

 大学図書館(手塚全集・東大医学部図書館)
 公共図書館広島市立まんが図書館)
 これらは潜在的に広がりうる事例なのか、特殊孤立的な事例なのか

 他国の国立図書館との比較
 どのていどの収集率なのか

  • 「よいマンガ」と「わるいマンガ」

 手塚マンガはほんとうに「よいマンガ」なのか
 はだしの元はなぜ「よいマンガ」とされるのか じつはホラーマンガとして受容されているのでは
 だれにとっての「よい」「わるい」なのか
 納税者や設置者が考える「よいマンガ」と「わるいマンガ」の境界線とはなにか
 なぜ小説では「よい」「わるい」が不問にふされるようになったのか

 競合するか するとして民業圧迫はいいのか(英国では公共図書館の普及で貸本屋が壊滅)か

  • マンガ排撃史

 悪書追放運動と図書館
 「白ポスト」の歴史
まぁ、いちばん学術的に手堅いのは、19c米国図書館における「フィクション論争」を、21c日本図書館におけるマンガになぞらえることですな。
「つりばり理論」とかあってオモシロです(・∀・)
あと気をつけないといけないのは、図書館界には善意の進歩主義者が多いんで、全体の言説がどうしても「マンガ=善=(公共)図書館にも入れるべき」という、著者の願望の表明でおわってしまう傾向にあること。それに気をつけるとオモシロくってイイもんが書けるのではと。
米国図書館界みたいに、ほんとうの意味で百家争鳴じゃないからね日本図書館界は。
さて、高円寺へいかねば(^-^