書物蔵

古本オモシロガリズム

松本喜一の官車(公用車)から,検閲制度を覗く

このブログは,ライブラリーユーモアを標榜してはじめたんだけど… 古本漁りに狂奔したあげくにユーモアを失いつつあり… 忸怩たる思ひ
というこでライブラリーゴシップをひとつ(^-^*)
といっても,1929(昭和4)年のゴシップですが…
このまえ,国会に数百人の国家公務員(特別職)運転手がいるという記事があったけど…
たまたま,帝国図書館の自動車についての記事をみつけた
『我等と図書館』[9](昭和4年11月30日)(月刊図書館講座毎号付録)
この,「我等と図書館」って雑誌は,これまた「月刊図書館講座」の「毎号付録」であるそうな。この「講座」は毛利宮彦が発行人になっている。私大の図書館員などが中心に執筆していて,官立系の館界主流派とは一線を画したものとみていいのでは。
そしてこの毎号付録の巻末に「ライブラリーゴシップ」なるコーナーがある。
いろんな与太話が書いてあるんだけど…

日本の図書館が持つている唯一の専用自動車であるところの,上野の森の烏共を驚かしたアノ帝国図書館の光った車が,例の緊縮風に吹き飛んで終つた。一週二回内務省の納本受取りと館長松本氏[松本喜一]の乗用だけどいふのだから,当然の運命でもあらう(「ライブラリーコ[ママ]シップ(投稿歓迎)」より)

なーるへそ。この段階では自動車そのものの普及率が極端に低いから,館界全体で帝国図書館の官車しか自動車はなかったのだねぇ。
松本喜一が「乗用」する「光った車」だから,きっと黒光りする乗用車だったにちがいない。
その乗用車が「週二回内務省の納本受取り」に行く。
実感として出版量がかなり少なかったことがわかるね。