書物蔵

古本オモシロガリズム

出入りでぃ!関東連合の若頭が,関西連合になぐりこみでぃ!

戦前の青年図書館員連盟以来の伝統ある『図書館界』がメラメラ燃えている。
図書館界』11月号に,「現代において公立図書館の果たすべき役割とは何か(第3回)」という特集記事。そこで糸賀雅児(いとが・まさる)KO大教授が吼える吼える。まあ先生が若いかどうかは別にして,改革派三羽烏*1の一翼であることはたしか(^-^*)
記事は全体として,4部構成。委員会まとめ・投稿3つ・糸賀氏の反論・編集委員会回答。とりあえず要約するね。
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最初に編集委員会のまとめ

 貸出しサービスの専門性or公共性の有無が論点だそうな

投稿

  1. 西村彩枝子「貸出し」に専門性はあるか  「貸出し=貸出し業務」説にたつ。これは「貸出し≠貸出し作業」説でもあり,だから「貸出し」には専門性ありとする。
  2. 片野裕嗣 「貸出し」についての雑感  「貸出し=貸出し業務」説にたっている。
  3. 喜多由美子「貸出」が多いことは私たちの誇りです  アルバイトが貸出し作業をすることによって,職場が分断される。「貸出しを追うことを蔑視したり,戸惑ってはいけない」と説く。

糸賀氏の反論(項目名,引用以外はわちきの要約だよん)

「『市民の図書館』からの脱却に向けて正確な理解を」
1“案の定"の《誌上討論》
 首長部局の連中にバカにされるよ,との指摘
以下、引用

地方分権行政改革をたたき込まれた役場・役所の一般行政職に「図書館では30年前に刊行された『市民の図書館』の考え方が今後も大事です」などといったら,「こんなことを言っている人たちがいる限り図書館はダメだ」「図書館で働く以前に地方公務員として失格だ」と思われるのがオチである。

2「課題解決型図書館」は目新しくないか?
 貸出しが主要サービスであるとは認めるが,それ以外の多様なサービスこそがさらに求められているし,低コストでできる技術環境(IT)にもなった。30年前の『市民の』にはぜんぜん書いてないよ。
3「貸出」を伸ばすことだけがレファレンスや課題解決の利用をもたらすか?
 レファレンスと貸出しは,実は無関係に発展しうるものなのではないか。(志智の「貸出し・レファ無関係」説そのもの)。都立中央でレファレンスが多いのは,都立だからじゃなくて,レファ用の職員と,それ用の蔵書があるからでは。貸出しばかりしている市町村立でレファレンスが発展してないことも傍証。
以下,引用

(「課題解決型図書館」を提唱するのも,限られた予算・人員内で)「貸出」を含めた利用の総量を増やし,司書の専門性を内外に示すために最適のサービス・モデルと考えるからである。
いまや過去に成功例が有るか無いかが問題なのではなく,いかに新しい成功のモデルを創りだしていくかが問われているのである。
 また,(これらを)提案しようとすると,これを“時流にのろうとしている”として揶揄する向きもあるが,“時流にのらずして”このご時世にどうやって予算や人員の削減を食い止めようというのであろうか?「流行」と「不易」のバランスを図ることはもちろん大切だが,だからといって世間の潮流を無視していては,取り残されるばかりである。

4 編集委員会への疑問
《誌上討論》と銘打っているのに,(第2回)でぜんぜん別の話題について反論しているものを載せるのは,編集としておかしい。
これは,意見と人格をごっちゃにしたものであり,「個人攻撃」である。編集委員会は個人攻撃を容認するのか。

そして何より私が危惧するのは,一般の会員のなかに『市民の図書館』からの脱却を支持するものがいても,こうした紙面構成を見たならば,後の個人攻撃を恐れて投稿しにくくなるのではないか,ということである。

編集委員会編集委員会への疑問」
まとめると…
《誌上討論》は,必ずしも文献を限定する必要はないし,糸賀氏が個人攻撃と思った部分も,委員会が読んだ限りでは,そうではない。
ただし,個人攻撃をすべきでないという意見には同感だし,個人攻撃にあたるものは載せるつもりはない。
『市民の図書館』脱却論をたたく意見しか集められなかったのは,「委員会の力不足と言わざるをえない」。脱却論のかたに執筆を呼びかけるようにしたい。
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イトガッチの,

“時流にのらずして”このご時世にどうやって予算や人員の削減を食い止めようというのであろうか?

このところでゲハゲハ笑ってしまった(^-^;)(決してハゲハゲじゃないよ(・∀・)/
うん,経済成長期なら,野党的立場で「金出せ,かね出せ」と言うのも有効だったけど,右肩下がりの平成の御代じゃあ,こーゆー認識のほうが正しいわな。

*1:書物蔵では根本彰東大教授,薬袋秀樹筑波大教授とあわせてこう呼びたい。もちろん三者の主張は異なるのだが。