書物蔵

古本オモシロガリズム

 図書館政治としての「千代田区立」日比谷図書館

う〜ん,やっぱり司書のみなさんは反対みたいだのぅ。
気持ちはわかる(つもりだ)よ。東京市議会であの坪谷善四郎が提案した図書館だからね。って坪谷に興味のある図書館員はぜんぜんいないだろうけど。
でもわちきは図書館趣味者にすぎんので,外からみた見方をするね申し訳ないが。思いは同じでも反対の人とわちきはおそらく次の1点で認識が違うのだわさ。
この前も書いたがもう一度いう。このまま都立だったら本来の意味で廃止=消滅しちまうことになったのではないか。
最初の「あり方検討ナントカ(俗称:あり検)」の時に,知事部局はほんとにつぶすつもりだったようにみえたよ。
今回の移管で,どんな経営形態になるにせよ(ま,直営じゃないでしょうが),日比谷図書館消滅するということだけは回避されることが確実になったのはむしろ慶すべきことじゃないかいな,と。
確かに都立にしとけば,都の専門職種としての司書職がサービスしてくれっからそれなりにサービスの質は担保されるけど*1。このまま都の指導体制のもとでは展望がないのでは。
社共が反対して自民にとりあえず残してもらうという政治手法が通じたのは,やっぱり右肩上がりの経済が背景にあったわけで。一度書いたけど,共産党社民党が首相や都知事を出すっちゅうことがなけりゃあこの流れはとまりませんがな。とりあえず廃止にはならなくなったということを喜んでもいいのでは。
国会図書舘長二階級降格問題でも,反対したのは共産党ぐらいだったというし(民主党には見捨てられた)。司書業界は専門職団体を標榜してるわりにはひとりの族議員も出してこなかったことを反省すべきでは(この指摘は根本先生の論文にチラリとあった)。せめて民主党にひとりぐらいはいてもいいのではないかいな。
日比谷はたまたま千代田区なんだし,千代田区がもらうのも自然といえば自然では。
でもまあ,趣味者のわちきの意見ということで,聞き流しておくんなまし。
ゆめゆめ「まなじりをけっして」抗議などわちきに寄せられぬよう。わちきは都知事じゃないんで。

*1:ほんとうは,受け手の千代田区にも司書職制度がありゃあいいんだろうけど,ないねぇ。なぜないか? ほんとかどうかわからんけど,図書館運動は何を残したか / 薬袋秀樹. -- 勁草書房, 2001.5 を読んだ?