書物蔵

古本オモシロガリズム

特集「これからの日本図書館協会3」を読む

ひさびさに、『図書館雑誌』のゴシップ読み。2011年12月号ね(o^ー')b
特集は「これからの日本図書館協会3」。

高山正也(国立公文書館館長)先生の

  「現代文明諸国中、米英に次ぐ三番目の歴史を誇る」「日本図書館協会の会盛が近年振るわないと聞く」という。だがこれは、(他の国同様?)、館種ごとに「発展・分化」した結果であって、「日本図書館協会は〔以前は親密だった博物館や文書館を排除した〕図書館、特に公共図書館、中でも一定の図書館思想の信奉者を中心とする組織に変質したとまで言われているとか」とも。つまり高山先生は、「一定の図書館思想の信奉者」がJLA(の中枢)を占領しちゃったがゆえに、「会盛」が衰えたと見ている。
 「信奉者」って何だろう( ・ o ・ ;) って、貸出を絶対善として、○×支援やレファレンス・サービスを二の次とし、異論を認めぬ前川教のことか?(^-^;)
 まぁ確かに、業界のだれーも、ほんとに誰ひとりとして、「公共図書館は貸出するな」なんて言ってないのに、言っているかのように思いなして大学の司書課程・図書館情報学専攻の先生たちを批判するのは、認識が訂正不可能であるちゅー点で「教」とか「信奉」とか言われてもやむをえないような気も(゜〜゜ )
 しかし、批判するならもっとはっきり、図問研系の人たちとか日図研の利用研究グループとかなんとか具体的に名前を挙げていいようなきもす。

永田治樹(立教大学文学部)先生の

 ちょっとよくわからんかった。「整理技術」の話をしとるのは、上からの概念的でゆるいダブリンコアと下からの前例踏襲的なRDAがぶつかるという図式を出すことで、それとJLAのビジョン問題とを比較しているということなのだろーか?
 公益法人後のJLA定款(案)の3条には法人の目的が書いてあり、ズダだだっと全「館種」を列挙し、それらの「進歩発展」を促進するとあるそうな。そんで文化、学術、科学の振興に寄与するのが目的だとか。
 CILIP(英国の元の図書館協会)のほうがもっとスマートな目的を掲げているという。まあ、CILIPのがよくて、新JLAのがダメなのは一目瞭然ではあるのだが。
 しかし、英国の司書一般ほど日本の司書一般はアタマよくないし、だいたい文科省だか総務省だかの役人が望むような定款をかくと、どーしてもツマランものになってしまうような気もする。
 もちろん、専門職(専門家)がアタマがわるくてドースル、という批判であれば全面賛成である。

前田章夫(大阪府立図書館)氏の

 指定管理反対運動や図書館の自由侵犯時には、非会員の司書でもJLAを頼ろうとする向きがあるという。それは結構だけど、逆にJLAは政治運動ばかりに傾注してきたということでもあろう。専門職団体ないし専門家団体が政治団体的側面を持ってしまうこと自体を非難しようとは思わんが、やはり主体は専門技術でないというところが問題だなぁ。
 或る意味、専門技術とカンケーない自由委員の定数は半分に減らし、件名委員や分類委員の老頭児は総とっかえし、情報(レファレンス)サービス委員会を新設し、司書固有ないし司書が強味を発揮できる技術分野でまともな議論ができるような場を設定するのがよいでしょう。

根本彰先生の

 「米英には図書館協会はあっても図書館関係の学会はない。協会が学会の役割を兼ねているのである」という指摘には、なるほど(゚∀゚ )アヒャ 意外と知られとらんのでは。逆にいえば、「日本図書館情報学会」がなにやっとんのか、ということにもなるが。
 アタマよくって冷静な連中がJLAから「学会」という形で分派してしまったネガティブな余波が、高山先生のいう「信奉者」によるJLA占拠につながったのではありますまいか(憶測)。 ん?(・ω・。) さういへば、根本先生の論文にそんなんあったね(´∀` )
でも根本先生のでオモシロいのはJLAの純化路線を批判するくだりで、こんなところ。

彼ら〔非正規職員〕に対して司書資格を安く切り売りする人たちであるとしたり、また、そうした人たちを安価に雇用することで儲けを出す人材派遣会社を正規職の「敵」と見なす傾向があったことも否定できない。

ははぁ、これは、たとえば「丸善」を「丸悪」として喜ぶような輩のことですな。人民を搾取する口入れ屋は国家独占資本主義の走狗なりっ! って、最近は左翼も劣化して、こーいったジョー談すら通じない。。。(-∀-;)
 ただまあ「学会」とやらもまた、「司書資格を安く切り売りする」どころか、資格を安かろう悪かろうで「大安売り(濫発)」することで雇用を確保してきたんだから、先生がたもイノセントぶりっこは許されん。で、根本先生はそれをわかっていて、ライパァをやっておるんだね(*´д`)ノ わちきの見るところ司書課程の先生方にはかなりアヤシイ人びとがいるからなぁ(σ^〜^)
んで、根本論文でいちばん役だつとこは、次の表。
最近の司書数(仮題)

- 正規専門 その他
公共 6千 3万 3万6千
大学 6千 9千 1万5千
学校 7千 3万7千 4万4千
専門 3千 4千  6千
国会 1千 ゼロ  1千
2万2千 8万 10万2千

注)根本彰作成の表(p.805)をさらに各数値を百の位で四捨五入
看護師95万、准看37万、教員85万とは比べられないが、博物館職員5万、栄養士10万と比べると、意外に多いと先生は見ておる。
へー、日本に司書もどきは10万もおるんかぁ。。。びっくりですぢゃ(・∀・`;)
しかし、たとえばネットを見るに、「図書館クラスタ」など筑波大を中心とせるビブリオメトリクス系のひとが数人おるだけで、にゃんだか図書館趣味、、、じゃなかた図書館論っぽいひとは少ない少ない。
では残りの9万9千人の人々は、いったいなにをしておるの(σ・∀・)