書物蔵

古本オモシロガリズム

図書館趣味

わちきが司書をなりわいとしているのでは,という憶測をいうむきもありまするが,自分としては図書館はあくまで趣味なのでございます。
図書館趣味
まー,library studiesとでも言っておきませうか。世に,図書館学(bibliothekswissenshaft)とか,図書館情報学(library and information science)とかいう言葉もありまするが,あまり好きくありませぬ。そんな大仰なもの,もとからない気もいたしまするし。
ただ,英国系のlibrarianshipという語にはそれなりの尊敬の念を禁じえません。というのも,これは図書館学などと意訳(誤訳)されておりますが,むしろ直訳して司書道とせば,そこはかとなく雰囲気が醸し出されてくるやうに,たんなるスキルの集積でなく,精神的態度ともうしませうか,ココロの構えをも含んだ概念だからです。もし,このライブラリアンシップなるものを体現できる職業集団が存在したなら,本朝においてもアングロ・サクソンなみの司書職制が成立できたでせう。
米国にもlibrarianshipは実態としてあったとは思うのです。いつだったか,1950年代に米国へ留学した司書さん(日本人)にインタビューしたことがありますが,仕事に対する構えが,国内をうろうろしてるへっぽこ司書やコーム員司書とぜんぜん違うの。あれにはオドロイタ。
特定のスキルを知ってる知らない,とか出来るできないとかの問題じゃなく,それらに対する構えが全然ちがう。なんか,missionをもつmissionaryって感じ。そう宣教師みたいな感じ。ヘンといえばヘンだけど,すごいといえばスゴイよ。
だからへっぽこ司書さんたちが,思い出したようにmissionとか叫ぶのは笑止千万。ふだんのおこないでぜんぜん裏打ちされてない。
わたしは幸い愛書家で,図書館には趣味としてかかわっているんで,司書道が地に落ちてもヘーキ(一掬の涙はそそぎたい