書物蔵

古本オモシロガリズム

ファイリングシステムの超みじかい歴史

この本の終章「公文書管理から見えた自治体とファイリング」に本当にごく軽く、ファイリングの歴史が触れられている。

話は古くなるが日本のファイリングシステムの歴史は戦後、三沢仁著『ファイリングシステム』(昭和25(1950)年日本能率協会)からスタートしたといえる。

ほかに、淵ときとも、上野陽一が「ファイリングシステムの先駆者である」(p188)とある。
ちょっとオモシロなのは、実際のキャビネットの話もほんの少しだけ書いていて、沖縄県公文書館を作った大城立裕の『光源を求めて』にキャビネットがでてくるとか。

それをはじめて見たのは一九六〇年ごろ、長期経済計画のため沖縄民政府に二カ月ほどしゅっこうしていた時である。スチール製のファイリングキャビネットを見て、そのよく滑るのに感心した。〔略〕翌年だったか本土からイトーキだとかクロガネだとか、メーカーがデモンストレーションに来て

あと、長井, 勉, 1948- || ナガイ, ツトム, はくろがね工作所につとめていた著者の友人にヒヤリングをしている。

実は二五年、三沢先生の『ファイリングシステム』が発刊された頃、スチール製のオフィスディスクの生産を開始し、翌年には人事院からキャビネット比較テストで一位になったことがあった。それから三年後にはキャビネットの量産が始まり、その後ファイリングシステムに必要なフォルダー、バインダーなどの商品を販売した。(p191)

ファイリング「システム」の要素ぜんぶとは

これ読んで思いついたんだけど。
ファイリング・システムって、どんな要素から成ると思う?
ここに書いてある、

  1. 文書そのもの(紙ペラ)
  2. キャビネット
  3. フォルダー、バインダー

だけで成り立つかしら(σ^〜^)σ
実は成り立たない。

  1. ファイリングするひと

アメリカにはゐる。
んで…
これでも全部でない
実はフォルダーの見出し部分に書き込む、ヘッディング(図書館学でいう標目)をどうするか、といったルールが必要

  1. 文書そのもの(紙ペラ)
  2. キャビネット
  3. フォルダー、バインダー
  4. フォルダーを並べるルール(標目の形をきめる規則→件名標目法)
  5. ファイリングするひと

が揃ってはじめて「ファイリング・システム」なわけである。
しかるに上記の本では、標目法とファイルする人が欠けてゐるねぇ。これは日本的な常識―単純作業は内製しちゃう、キーワードの形などはどうでもいいとする―がそのまま調べや記述に反映してしまってゐるやうに見受けられる。