書物蔵

古本オモシロガリズム

皆空書屋とは

北方にて獲たる、トンデモめづらか古本。

  • 武田正義 著. 明治百誌解説:皆空書屋. 富貴書房, 1951.11. 128p ;UM84-22

たったの1500円ぢゃった。ってか、もう5,6年まへだったか、創刊号雑誌コレクションの意義はナショナルコレクションの補完にありと気づき、古本コレクターの雑誌論を探したさいにみつけたこの本をずっと探していたが、1回古書目録に出て外れ、1回ネットで売り切れ情報を見た以外、売っているのを見たことがない。

明治百誌解説は解題書誌

あんまり分析が鋭いといふことはないんだけど、昭和20年代にこれだけ集めて、なおかつ解題書誌を編んで出版といふのは、かなりめづらしい、というか雑誌研究の先駆ともいへやう。
もちろん戦前期に明治新聞雑誌文庫も成立してをって、実際、木本至『評傳宮武外骨』(社会思想社, 1984)を見ると、戦時中に外骨が福島まで会いに行っているようだ。

雑誌活用者たちを探す

いやサ、なして此の本に注目しとったかといふと、この本の時期からいって、昭和2、30年代の雑誌研究が追うことができるのではないかと。具体的には、このタイトルからググブクると、この本を参照しているあたりが、昭和2,30年代に古い雑誌に注目して資料として使い始めていた人たちというワケ。
って、それぢゃあ、別に現物が手許になくとも追えるぢゃんか、ってか。。。まぁそこは、古本はわちきの活力の元なれバ。

出口一雄 1976
高木文編「書誌・年表 明治全小説戯曲大観」『国文学 : 解釈と鑑賞』28(9)(337)p184〜185

皆空書屋とは

皆空書屋といふのは、コレクター武田, 正義 || タケダ, マサヨシ の斎号。
福島県消防新聞、福島民友新聞、週間(ママ)民友に連載を持っていたというから、

昭和13年段階では「福島県伊達郡森江野村大字森山宇上鶉町四三」に居住していゐあ。

森江野村村長を務めたことがある。

皆空書


... 村會 6 佛繁研究&志」『佛繁說話集』四卷,二年八月、現住地生 0 曹〇中學卒業後専

武田正義 號、皆空書屋主人○明治廿二年八月、現住地生○曹○中学卒業後専ら仏教研究に志し『仏教説話集』四巻、外数種の著述あり○農、消防組頭、村会議員○福島県伊達郡森江野村鶉町四三。
仏教年鑑. 昭和5年版 佛教年鑑社, 1929 514 ページ

武田正義 號、皆空道人◇曹◇村長兼消防組頭◇福島県伊達郡森江野村鶉江◇明治二十二年福島県生。中学卒業後上京、大学に学ぶ。後仏教に専念。村会議員、学務委員、水利組合議員等に歴任、昭和四年現職に就く。
仏教年鑑. 昭和6年版 佛教年鑑社, 1930 626 ページ

昭和7年版には武田正義の項目なし。