書物蔵

古本オモシロガリズム

「内検閲」「内閲」いろいろ

制度の改廃とはいったいなんだらう(σ・∀・):図書館史の事例から

実定法から文理的に自動的に各種の手続きや行政サービスが出てくるわけではない。たとへば、Library of Congressでは、閉架式だったにもかかわらず、一部の研究者たちは書庫内へ入れたらしい。

米国議会図書館(LC)では1992年に,以前は一部許可していた書庫立入を完全に禁止した(CA817参照)
http://current.ndl.go.jp/ca997

昭和30年代のことを書いた学者・研究者のエッセイには、本朝の国立図書館でも書庫立ち入りをして調査したてふことが、たまに出てくる。LCでは、上記のやうに1992年にそれは廃止されたわけだが、本朝のそれはいったいいつ廃止されたのだらう。LCはビリントンが議会でつるし上げをくふてふ事件を通じてその廃止の事実が文献上にでてをるが、では本朝では?といふと、さっぱりわからない。わちきのよーに、昭和20年代の職員登庁風景を活写できるやうな図書館史マニアでもその文献を見出しえない。愛書家なら誰れでも知っとる、かの山下武が1980年代に、当時埋もれていた乙部図書なるものを求めて書庫内を見学した折、超能力で本の中を透視したと自著に書いてをったが、それがこれにあたるのかどうか、もはや山下武は泉下の人である。一説に1993年前後てふ説があるが… 内々の制度だったのだらうか… これは戦後のことなるに、もはやさっぱりワカラナイ(σ^〜^)

内閲といふ制度

完成品の製本が納本される時点*1よりまへ、原稿かゲラ刷りなどを図書館ならぬ図書課に持ち込んで、発禁にひっかかるか否かを内々に見てもらふことを「内閲」といったらすぃ〜
で、この制度の最後は次のように文献に残ってをるのだが。

実はこの制度、実定法上の根拠がないものなので、はじまりの時期が不明なんよ。そんで、今度でた「伏字の」で議論されとるてふわけ(´・ω・)ノ
わちきもこんな例をみつけたo(^-^)o

長谷川如是閑: 人・時代・思想と著作目錄 - 331 ページ
https://books.google.co.jp/books?id=UIQVAAAAMAAJ
1985 - ‎スニペット表示 - ‎他の版
やむなく内務省警保局の内検閲を受けたが全面的に不可と回答された。そこで東西「朝日」の関係者は, ( ! )発禁覚悟で掲載. 2 危険な箇所を改作してもらう, 3 : .伏字を使う.の 3 案を検討した結果,作者と^庵を煩わして危険箇所を改作してもらうことにし, 1918 年 ...

これなんか大正7年の事例のやうだから、わりと初期のものなのでは(σ・∀・)σ

古川ロッパ昭和日記 - 第 2 巻
https://books.google.co.jp/books?id=7I4vAQAAIAAJ
古川ロッパ, ‎滝大作 - スニペット表示 - ‎他の版
熱海三月二十日(金曜)晴である。神経衰弱になりさうだ。これで二度、その改訂の「待ち」など、人に言へない不快か&るといふ奴がやたらに多く、僕なども、「婦系図」とぬものなのだが、此の頃は又シナリォの内検閲で、ひっ映画といふものは、もとく無駄が多く、 ...

さうさう。演劇・映画の台本は、公開前の検閲、つまり「内検閲」が制度化されてゐたんぢゃった。

*1:新聞紙や一部の雑誌は発行日当日、その他、単行本や多くの雑誌は発行日より3日まえ