書物蔵

古本オモシロガリズム

大久保久雄さん布川先生について縷々述べる

『本の周辺』という雑誌があった。

  • 本の周辺 / 「本の周辺」同人. -- 1号 (昭49.1)-23号(昭57.9). -- 東京 : 沙羅書房 (頒布) , 1974-1982. -- 発行:伊藤元雄 ; 6号(昭51. 6)からの発行者:新生社 ; 季刊(1号-16号)→隔月刊(17号-23号). -- (AN00231907) ; http://ci.nii.ac.jp/ncid/AN00231907

同人制で、最初は沙羅書房が頒布する季刊誌だったけど、途中で発行者が、かの新生社――ほれほれ(σ・∀・)σ戦争直後、総合雑誌『新生 Vita Nova』をだしたとこよ――にかはり、さらに各月刊になったといふ雑誌。
この雑誌、わりと好きなんよ。
厚くない、装丁が地味。『図書館と本の周辺』のような素人くささがない。ん?(・ω・。)『図書館と本の周辺』なんか知らんってかc(≧∇≦*)ゝ こっちも同時代の雑誌で、1988に12号をもって廃刊した模様(と思ったら、2002年に13号が最後らしい。しかし、どの図書館にも12号までしかないし、だいたい国会図書館にも10号までしかない。それでいいんか? ってか、かういふ現象をさして「紺屋の白袴」といふ)。

  • 図書館と本の周辺 / ライブラリアン・クラブ. -- 1号 (昭49.11)-. -- 東京 : ライブラリアン・クラブ. -- (AN00312816) ; http://ci.nii.ac.jp/ncid/AN00312816

こっちは装丁がダメダメで、ちょっと集める気分にならん(*+ω+*)
それはともかく、このまへ五反田でこの21号を拾った。
そこに面白な記事が載ってをったのでメモせん。

  • 大久保久雄「布川文庫のこと」『本の周辺』(21)()

大久保, 久雄, 1931- || オオクボ, ヒサオ - さんといへば、まだお元気で神保町に出没。かの『大東亜戦争書誌』を編んだ方でもある。職歴は、古本屋で図書館員で大学教員もやっていたといふ方。わちきはこのうちのひとつをやったことがないんで、いまでもあこがれとるよ(^-^*)
ともかく、『本の周辺』にある大久保さんの記事をメモると。

1969春 布川自宅(江戸川橋)に開設
1978.12 栗田書店役員室(栗田神保町ビル)
1980.8.10 上野図書館国会図書館分館)

というように「布川文庫」が所在していたとわかる。
オモシロいのは、「布川文庫の会」というのが出てくることで。17名で、大久保さんほか、鈴木徳三、金子豊、稲岡勝さん、佐藤研一、坂本寛さんなどの名前が挙がってをる。
布川文庫ほ変転については、つづきがコツウに載っていた。

昨年暮れの12月21日、旧岩波茂雄邸隣り小日向町の布川角左衛門先生宅へ国会図書館支部上野図書館那須雅煕さんらがワゴン車で見えて、段ボール136箱の本と雑誌を運び出した。

とある。架蔵の『国立国会図書館内線電話番号表(1995.7.1現在)』によると、表3にあたるページに、「亀田(邦)館長/那須主任司書/(庶務)田中(久)…」とあるから、ここいらへんの人々が布川文庫末期の運び込みをしてたんだということが、この記事からわかるね。
死ぬまへにこんなことを書いている。

私の志、労苦、「出版資料館」の構想、念願は、ここに生かされている。/したがって、私は、この一層の拡充を生き甲斐として、一日一日、感謝と祈りのうちに自らを励まし、老衰にも耐えている。
こどもとしょかん. (67)(1995-10)

とこれが絶筆だと大久保さんはコツウでいう。
大久保さんはまた『印刷界』(1973.11)で、

収書について神田のある古本屋さんは、グロリア展、マド展、趣味展など比較的珍本の出る古書店〔ママ;展か〕には必ず布川先生はお出になられるといる。

と、布川カクザエモンを先生と呼び、その旺盛な古本購入について証言している。
布川自身は「身についてしまった収集癖」は百年史年表編纂した「後遺症」だといっている(^-^*) 

その〔収集癖の〕成果について誰いうとなく、これを「布川文庫」と呼び出した。支援するために「布川文庫を考える会」もつくられた。
布川角左衛門「「布川文庫」のこと」『日本古書通信』50(5)(670)p4〜5(1985-05)

とも。してみると、「布川文庫の会」の正式(?)名称は「を考える会」なのかもしれん
(゜〜゜ )

そのような苦境に陥った折であった。正確には昭和五十五年七月、それを知った国立国会図書館関係の方々の特別な好意と取計らいによって、上野図書館(旧帝国図書館)の一室に、そのまま帰宅するという幸運に恵まれた。それで同八月、「布川文庫を考える会」の若い諸君が主になって、研究室にあった一切を運んで下さった。暑い日であった。

さかんに「感謝」とか「ありがたい」と言っているが、それよか聞き捨てならぬのは、

「布川文庫」のカードをはじめ、「出版資料所在目録」の原簿など、できるだけのことをしなければなるまい。

ってあるとこ。その原簿なるものはどこにあるのだらう(。´・ω・)?
布川文庫のカードが別に言及されているところをみると、どうやら、布川文庫以外のものも含めた「総合目録」的な機能をはたす一覧のようなのだが…(゜〜゜ )
布川文庫末期の運び込み時に紛失したのかすら…(*´д`)ノ