書物蔵

古本オモシロガリズム

『文献継承』第23GO 内容紹介 前半

『文献継承』第23GO

  1. 『出版文化人物事典』における人物調査の方法 / 河原努
  2. 正木直太郎と『六六日記』―清国安徽省安慶府優級師範学堂教習と留守家族の手紙― / 稲岡勝
  3. 外地書店を追いかける(2)―台湾・新高堂の誕生1 / 日比嘉高
  4. 真相はかうだ! 藤岡淳吉の日本焚書は片隅で/『印度資源論』のホンタウの訳者は / 書物蔵
1の紹介

1の「人物調査の方法」は、にゃんと『出版文化人物事典』を日外で担当した人がウラ話を披露したもの。ってか、単なるウラ話ではなくて、どのような資料をどこで使ったかが、キチンと書いてあって、これは非常にユースフル。
基本となった日本最初の出版人名事典、鈴木テツゾーのものが600人ぐらいだったのを、一気に1600人に殖やすにあたってどのやうにしたか。
ネット情報源はもちろん、国会、都立、県立川崎などを経めぐりテ資料を調べまくるところは脱帽。さいごのサイゴで、千代田図書館閉架書庫にある特殊資料までつきとめている( ・ o ・ ;) 個人的には業界紙/誌の話がいちばんタメになったが、この文章、日本出版史研究をする人はかならず一度は読まねば――少なくとも同等の知識を身につけねば――ならないものですなぁ(*´д`)ノ ほかにもオモシロそうだったが収録できなかった人物が挙がっていたのは、これはいとスバラシ!`・ω・´)o 後学のために書きだしてをこっとヾ(*´∀`*)ノ゛

秋元一仁(T5生、秋元書房創業者) 高梨茂(T9生、中央公論社専務) 御喜家康正(T14生、「新評」)

しかし、かやうに、オモシロくってタメになるレファ本の開発が、担当者の手弁当に近いもの――この文によれば、「半年間の休日はほぼこの作業で埋められ」とのこと――で創られたというのもなぁ。。。(*゜-゜) どのような所であれ、ルーチンにのみかまけていたら、良いことはでけん、といふか(質的な)縮小再生産に陥ってツブレるってぇことですなぁ。。。(σ^〜^)σ  これはゲスナー賞あたりを上げたほうがいいのではあるまいか(。・_・。)ノ
ってか、この文章に挙げられた文献をリスト化しただけで、出版人を調べるにはのlibrary pathfinderができてしまふというオドロキΣ(゚◇゚;)
んでも、日本近代書誌学を創出せんと策謀するわちきであれバ、ひとつだけ文献を足してをくね(*^-')b

  • 出版便覧 昭和8年版 出版新聞社 編 出版新聞社 1933
2の紹介

2の「正木直太郎と『六六日記』」は、資料紹介。正木, 直太郎, 1856-1934 || マサキ, ナオタロウ という教育家が明治36年、無実なのに教科書疑獄事件にまきこまれた話と、正木が日本をやになっちゃって、50を過ぎて清国で仕事をしていた際、家族が書き送った手紙集「六六日記」のこと。
 正木良一 [ほか著] ; 正木直子 編. 六六日記. 新樹社, 1988.1. 361p ; ISBN 4-7875-8381-6 :GK13-E38
この日記(というか手紙集)は正木家のことがわかるらしいんだけど、電気より先にガスを引いたりとか、風俗史の資料になるとか、あるいは家族につぎのような人がいて。
 正木, 俊二 || マサキ, シュンジ →: 正木, 不如丘, 1887-1962 || マサキ, フジョキュウ
この人、堀辰雄の『風立ちぬ』の舞台となったサナトリウムを創った人らしいんだけど、不如丘という筆名でミステリを書きまくった人なのだそうな。知らんかった( ・ o ・ ;)

3の紹介

3は台湾で一番有名だった新刊書店、新高堂(にいたかどう)の話。「ニイタカヤマノボレ」の新高ですな。日本で一番高かった山(いまは富士山だけど、領台中は新高山のほうが高い)。新高堂はじつは都内に移転してきて今でも存続しとるといふ話は、いちどしたよね(o^ー')b→http://d.hatena.ne.jp/shomotsubugyo/20130414/p5
http://d.hatena.ne.jp/shomotsubugyo/20130413/p3
日比さんは主に、台湾日日の新聞広告を使ってをるのぢゃが、ほかにもたとへば、台湾国立図書館OPACなどを使ってみるのもよいのではあるまいか(。・_・。)ノ
といふのも、地方の書店は日比氏も指摘せるごとく、出版もやっていることがあり、もちろん、書店の店舗は閉めちゃっても出版はつづけるといふ南天堂のやうな例もあるから気をつけねばならんが、ひとつの目安にならうかと(σ・∀・)σ

4の紹介

んで、4の「真相はかうだ!」は。。。にゃんとΣ(・ω・ノ)ノ! 岩波から出た小谷著『出版異聞』が唱える『印度資源論』の真の訳者=枝吉勇説に真っ向から異論を唱えるといふもの(*_*;
その内容は!!!
(つづく