書物蔵

古本オモシロガリズム

「ハウツー本」語誌

つぎの記述を読んだ。

そういえば、実用書のことを〈ハウツー本〉と呼び始めたのは1970年代からだったと思うけど
http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20110713/1310488623

ほへー、と思って調べてみた。

ハウツー‐もの 【─物】 (ハウツーは{英}How to ) もとアメリカでHOW TO の語で始まる題名の書籍に由来し、「いかにすべきか」「どのようにしたら成功するか」の方法を教える目的で書かれた本。英会話、料理、ゲーム、園芸など、日常生活における趣味や娯楽などの上達法を教える簡便な本。
*息をひそめて〔1977〕〈小林信彦〉二「同じようなハウ・トゥ物を彼はすでに二冊読み上げていたが」

と、1970年代後半の用例が採録されており、
『出版事典』(1971)には

ハウ・ツーもの(How-to-do-it-book) 一定の技術・技能・要領を実地にすぐ応用できるように平易に書いた入門書。アメリカでカーネギー(Dale Cornegie)の《友達を得る法》(How To Win Friends and Infuluence People, 1937)や…

とあるが、日本の出版物については語られていない。
してみると、やはり1970年代に日本語として普及したものか。
ただし、出版物のタイトルとしては1960年代からあって、たとえば講談社が1963から出していた「ハウ・ツウ・ブックス」シリーズがある。また、新聞などでも1960年代から用例は散見されるようである(読売1968.7.28ベスト・セラーと時代/見田宗介)。してみると、1960年代から使われていたが、それが全面化したのは、
現在はたしかにハウツー物というよりハウツー本という。

実用書

ちなみに「実用書」は日国で用例がない。明治時代から「実用なになに」というタイトルの本は多いが、「実用書」ないし「実用本」といういいまわしがいつごろからあったのかは不明。