書物蔵

古本オモシロガリズム

岡山県の図書館史には独特なものがある

神保町の会館に注文しといた古本をとりにいく。行ったら、競合相手がいなかったと見えて、当ってた。うたたねさん2000円。

岡山県図書館一覧 / 岡長平著<オカヤマケン トショカン イチラン>. -- (BA84066570)
岡山 : 吉備人出版, 2007.11
124p ; 22cm -- 明治・大正・昭和前期編
注記: 参考文献: 116-117p ; 図書館名索: 118-124p
ISBN: 9784860691776(明治・大正・昭和前期編)
著者標目: 岡, 長平(1954-)<オカ, チョウヘイ>

これ、気づいたときには品切れで。探してたのだ。中身は明治から昭和20年まで岡山県内にあった中小公共図書館の一覧。それぞれに簡単な説明と、岡山県統計書などから採録した蔵書や利用者数の統計が一覧でついている。この本のように、戦前の弱小図書館について調べようとすると、ツールがほとんどないなかで、岡山県だけはこれでわかるということになる。岡山県立と岡山市立は資料がたくさんあるからと省略されているが、これは残念。というのも、他館と比べての突出ぶりの比較として格好なものだったにちがいないからだ。
中はディレクトリに近いものだから前書きなどを読むと、岡山県の図書館史文献について少し評価めいたことが書いてある。『土』にある関連文献に言及するのはある意味当然として、『岡山県立図書館60年史』を「出典を示しておらず、また同一事項が2箇所以上に示されるなど、資料としての信頼性は低い」とあり、苦笑す。まぁ不出来であることは確か。信頼性としても、昭和戦前期の『カレントアウェアネス』ともいふべき『本邦の図書館界』が4号からしか記載がないなど(わちきはこれですっかりダマされていたが、慧眼なる友人によれば1号も発刊されたりとぞ)、いまいちであることは確かだが、これにしか記載がないこともあるから、やはり岡山の図書館史を研究する際には、まっさきに見るべきものではある。あと疑問は2. 図書館をめぐる日本の近世 / 山県二雄. -- 山県二雄, 1981.2を出してきてないこと。同じ著者の『土』のほうが詳しいということか???
ほかにも、波多野巖松堂が2000円でだしていた岡山民報社創立二十五周年第八千号記念の絵葉書も買う。岡山民報は、原紙がほとんど残っていない。

追記

あ、そだ。著者の岡長平はペンネームではあるまいか。というのも、同姓同名の郷土史家がいるんですけど。。。偶然の一致???