書物蔵

古本オモシロガリズム

貸本業界新聞『文化振興タイムス』

『全国貸本屋新聞』復刻版の、ちょっとしたねじれをご説明(σ^〜^)

今回の復刻はまことに意義のあることにて。
そして、超レアな、あのドンザッキー(都崎友雄)の『新貸本屋開業の手引き』がついている。
それ自体はそれでいいんだけれども。
じつはしばらく前、去年だったか、あれはたしか高円寺の古書会館でくずみたいなものを拾った。なんだか本についての新聞だなぁと思って、中身をろくに見ずに買ったのだった。たしか300円ぐらいだったやうな…
それが、おとといだか、ひょっこり出てきたのだ。

ひろげてみると…
『文化振興タイムス』 旬刊 創刊号 1954.9.14発行
ん?(・ω・。)
こりゃなんだ(*´д`)ノ
発行所は日本文化振興株式会社とな…
む、むむっ!`・ω・´)o
なんとまぁこれは、『新貸本屋開業の手引き』の発行元ではないか!
どうやら貸本屋の業界新聞らしい。「弊社設立と発刊について/事業内容とその急務」なる創刊の辞がふるっている。
「お気の毒な戦災遺家族」でも小資本で始められるのが貸本屋で、特に関西発祥の「新貸本経営」は普及しつつあるが、「如何にも自然発生的であり野放し」なので、うまく導けばもっとうまくいくはず。

重要な文化的使命を果たしつつ、幾多の時代の犠牲者救済の役割を務めえるならば、国家的見地からも重大な意義を持ちうると確信し、本社を設立したものであります。(本社柴田社長談)(p.1)

ほへー( ・ o ・ ;)
「たとへ老人婦女子といえども手軽に安心して運営できる生業であると断定するに至りました」のだそうな(σ^〜^)
で、のっけから

経営相談室
【問】 本の盗難予防について何か良い方法がありますか?

などという記事が載っている。
ということで、ドンザッキーの「手引き」書は、復刻された『全国貸本屋新聞』よりも前の『文化振興タイムス』創刊とタイアップした企画だったというわけ。
知らんかった。
ってか知ってる人、いるのか?
実際、NDLのOPAC、新聞総目、ゆにか、webcatマイナス、あたりを引いても、国会に一号分だけある以外にでてこない。
おどろくほど多くの普通の資料が失われておるのだのぅ(*´д`)ノ

東読さんあたりに残ってないかすら

ところで、ドンザッキーの本名でぐぐぶくったら、こんなん出てきたけど。

東京都読書普及商業共同組合 千代田区神田美土代町9 Tel23-3810〜1 [代表]都崎友雄 [部門]総 [雑誌]街の図書館 (『出版年鑑』1958年版 p.1433)

『街の図書館』なる機関紙はどこにも所蔵されとらんようではあるが、一方で、この団体(略して東読というそうな)は、今でもあるみたい。上記、出版年鑑が誤植なのか、都ぬきの東京読書〜、という名で。オモシロなのは、いつのまにか埼玉に移転していること。