書物蔵

古本オモシロガリズム

東京移動図書館とは

 宅配を特色とした会員制図書館。1926年3月、今の六本木に設立された「東京相互書園」を前身とする。1928年1月に私立図書館として文部省の認可を受け、「東京移動図書館」と改称。同年10月に内幸町の大阪ビル(現・日比谷ダイビル)に移転した。理事長は三輪田元道(教育家)、専務理事亀田憲六、職員は6名ほど。
 当初の会員数は約200名だったが、一般書を備え、商社や官庁街に勤める読書階級に大衆小説などを貸出して好評を博し、会員も500名ほどに増加したが、1937年ごろに芝に新築された女子会館へ移転し、1938年ごろ活動を停止した。
 配達は基本的に東京市内。事前に新刊リストが送付されるので、そのリストから選らんでハガキか電話で連絡すれば、個別に配送してくれた(宅配だけでなく勤め先にも配送可)。内幸町のビルには自由接架(完全開架;当時の図書館としては異例)の閲覧室を備えており、直接行って閲覧することもできた。
 宅配サービスといい開架といい、その先進的サービスは特筆に価するが、有料であることをもって戦後の図書館史研究においては無視されてきた。しかし、近年、書物受容史、読書史の文脈から触れられるようになってきた。
レファレンス:
・古書の森日記 by Hisako 2009年04月04日 昭和10年の「図書館週間」と「社団法人 東京移動図書館」の謎 (http://blog.livedoor.jp/hisako9618/archives/51610749.html
・書物蔵 2009/4/6(月) (社)東京移動図書館ってば、ホームデリバリーをするヒルズ図書館だった?!(×o×) (http://d.hatena.ne.jp/shomotsubugyo/20090406/p1