書物蔵

古本オモシロガリズム

「椀伏せ」考

明日までやっとる(予定の)早稲田青空古本祭で拾った『体験的骨董用語録』。
これがまた、拾い読みにオモシロく(語録とあるのはこのいいか)、用語辞典としても、古本業界と対比できてオモシロなり。
昨日の椀伏せのつづき
椀伏せの起源らしき推測がある。

江戸時代から明治にかけて、骨董好きの旦那衆やら道具商が、料理屋の奥座敷に集まっては道具の品定め。自慢の品々を入札して公刊しようと話がまとまり、運ばれてきたお膳の吸い物椀の蓋をとり、内朱の蓋裏へ思い思いの値段を書き入れて投げ込んだのが、椀伏せのはじまりだとか聞いたことがある。

とのこと。
まぁこれが、どこまで実証的な起源論かはわからんが。オモシロいことはオモシロい。
と、いちおう軽くレファ本にあたってみたが。
『隠語大辞典』によれば、1935年の本に、「わんふせ」は壺伏せ、つまりは賭博のこととある。業界語辞典などにはみあたらず、ニッコクにもないことから、もしかしたら、賭博から来たのかも(゚∀゚ )アヒャ さういえば、昨日の西秋さんの座り位置といひ、調子といい、サイコロをころがす役の人みたいであった。
もちろん、骨董業界から賭博へという逆の流れも考えられるが…
ところで『体験的骨董用語録』は2002年にちくまから文庫版がでてをるが、著者は文庫化を断るつもりでいたという。
「四十代の初頭で書いた稚拙な文章なぞ、とても恥ずかしくて」「勉強不足のうえにいかにも青臭い」。でも、「今の私が第三者の眼をもって文中に見出せば、そこには懸命になって美意識を探ろうとするひたむきな青年の姿がある」とのことで文庫化されたよう(文庫版あとがきより)。
ただ、用語集としては、「〔元記事を〕連載していた一九七〇年代後半ころの骨董用語は、すでに現在使われなくなったものが半数を超す」ともある。
多少の加筆訂正を加えるだけにしたとも。ざっと見たかぎり、項目名が増えているようにはみえない。「あきめくら」にエクスキューズが入っているのが目立つぐらいか。