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古本オモシロガリズム

「高度レファ」にすがっても、説明できなければ…

とうとう気づいちゃったのねん子猫ちゃん

大阪版市場化テスト監理委員会というものがあるという。そこの9/10の会議で、「府立図書館管理運営業務」が議題になったと、図問研ブログで知った。
http://b.hatena.ne.jp/entry/tomonken-weekly.seesaa.net/article/128136087.html
にゃんだ(=゚ω゚=) やうやく気がついたの、って感じ(  ̄▽ ̄)
いや、外のヒト(監理委員さん)がやうやく、ってこと。
図問研は問題発見能力はあるのに、それを整理する能力がないんだよなぁ(整理できなけりゃ、展望も開けないのに)……(*゜-゜)
議題はつぎの公式サイト参照。
http://www.pref.osaka.jp/attach/3231/00032816/siryou2.pdf
ただ、話された内容は図問研ブログしかないので、それを参照のこと。

市場化テスト自体はまだまだ

今回の問題は2段階になっておって、
1) 「司書の知識・経験を必要と」しない「カウンター業務」(つまり非専門的業務)を市場化テストに出す
という第1段階の問題(つまり今回の市場化テスト)もあるのだが、本質的にヤヴァイのは、9/10の会議で話されたという(図問研ブログにある傍聴内容の)第2段階の問題。
それは…
2) そもそも、レファなんて、公的サービスとしては受益者ひとりにコスト高すぎぢゃね
ということ。
まぁ第1段階で、委員の考える非専門的業務がかなり広いということも問題だが(所蔵調査、所在調査や、書誌データ管理は、従来の考えでは、専門的業務にされることと思う)、それよりもなによりも、その先。
高度レファを専門的業務と認めるにしても、そりゃあ、公的サービスとしては不適でしょ、というつっこみ。

99人をほっぽりだして1人を?

委員のひとりはこういったという。

半日や1日かけて調べて、さらに国レベルのデータ・ベースに載せるためにかかるコストを考えると、官のサービスとして質が高すぎるかとも思う。
府職員の時間給は約4,000円、退職金も入れると4,700円から4,800円になる。一人の人に何万円もコストになる。

そうだねぇ(゜〜゜ ) 4,800×4時間(半日)=19,200
たしかに1人のヒトに、1万9千200円のサービスというのは、とても手厚いサービスだなぁというのが素直な反応でしょうなぁ。
で、図書館旧守派の方々は、そもそもこのようにコスト分析をすること自体が悪で禁ずべきということにしてしまった(たしか、貸出1件で、つまりただピッとやるだけで700円だったような)。
それが旧守派の、自己矛盾でダメダメなとこなんだよなぁ。知的自由が大事だなんて、自分たちだけが安全地帯で責任を問われない知的自由なんて、そりゃあ、社会主義国の体制側が唱えていた自由と同じ。都合よすぎ(・∀・)
いついかなる時も知的自由が大切、だから司書イラネ、図書館イラネという言説も自由で、きちんと論議されるべき、というのであれば、そりゃあ、「図書館の自由」派さまにも一分の理があるとわちきは認めるよ。でも、上記図問研ブログでありありと判るように、テンからそういった言説には自由を認めないのだよなぁ… 困ったことである。
実際、業界内で1990年代後半にコスト分析を一部の人々がやろうとしたら、それ自体が悪だという意見が強くてあきれた。だから当然、その先にあったはずの、もしかしたら反論できるかもしれないいろんな理屈体系が日本図書館情報学に蓄積されんかった。
理論上の検討が1990年代になされなかったから、2000年代に、実際に、それも具体的な権限のある人々が出してきた、こういった、素朴な疑問に応答できん。そして、応答できんものは、税金をつぎこめんというのが1990年代にでてきた財政民主主義、アカウンタビリティという考え方なわけで。
縁なき衆生はバカだから、おれたち前衛に全権委任せよ(つまり民主主義は制限する)というのであれば、それはそれで成り立つのだけれどねぇ。

1人に答えることが99人に、という理屈も…

たとえばさ。
たしかに最初の質問に答えるのに半日(4時間)かかっても、2回目に同種の質問が来て、過去の事例が参照できたなら、20分で答えが出る。1件で1600円。同種の質問がうち続くようなら、続けば続くほど、1件1600円にかぎりなく近づいていく。
たんに、証明書をとるという「単純」業務のに800円かかるとして、その2回分の価格で、「高度レファ」に答えられるというというのはお得ぢゃございませんか、とか。
逆に言うと、「さらに国レベルのデータ・ベースに載せ」なけりゃあ、つねに19,200円かかっちまうというわけ。
だから、たしかに1回きりで雲散霧消していたレファは、公費になじまず、受益者負担を率先して財務当局から求められてしまうサービスであった、ということになるのではないかいな。
てな、こんなプリミチブな理路だって、論文で読んだことないなぁ。それも当然で、コスト分析をすること自体が悪だったからねぇ。
しーらね。