書物蔵

古本オモシロガリズム

坂尾正巳といふヒト

オタどんがまたもや歴史に埋もれたる図書館をひとつ見つけてきた。
http://d.hatena.ne.jp/jyunku/20090912/p1
全国行脚をしていた宮本常一が、坂尾正巳なる人物の経営せる私立図書館を訪ねたといふもの。

調べたよ(´∀` )

坂尾は、日本図書館史の基本レファ本をひとさらい見ても不明。
そこでgoogle bookを引いてみると、『日本史文献年鑑1975』(p.330)がヒット。
どうやら、「八頭郡郷土文化研究会」というのを1975年ごろに主催していたらしい。事務局は、鳥取図書館八頭分館内とあるから、1955年ごろ八頭郡郡家町にあった県立鳥取図書館八頭分館になんらかの関係があると思われる。というか、彼の図書館がそのまま県立の分館になったと思われる。もしかしたら今の八頭町立図書館の起源かもね。
http://library.town.yazu.tottori.jp/

坂尾正巳(さかお・まさみ1898〜1984

いまググったら、きちんと郷土史DBに採録されとった(^-^;)
http://db.pref.tottori.jp/HomePerson.nsf/DataPersonView/5E84CCDDD3702C0E492570C9002D71BE?OpenDocument
おお、鳥取県立図書館、いい仕事してますね。

戦後日本図書館史学の負の遺産

けど、図書館のHPっておどろくほどに自館の沿革が書いてない。これは1970年代の貸出中心主義の影響ですなぁ(郷土誌が軽んじられた)。
昭和末に坂尾正巳は郷土史研究をしておるから、著書があるだろうとオパくってみたが、このヒトの著書は唯一、鳥取県立に4点ほど残っているのみ。
戦後の日本図書館史研究は、その強固なる人民史観から、戦前においては社会主義者とか青年団の図書館活動をむやみにクローズアップしたのだけれど、実際には、地方名望家、郷土史家などによる図書館活動も同じぐらいの重要度であったわけで、この坂尾正巳なる山林経営家(おそらく地主)も、その系譜に連なる人物ならむ(゜〜゜ )