書物蔵

古本オモシロガリズム

ん?(・ω・。) 『世界蔵』とな:日本最初のSF『星世界旅行』を書いた貫名駿一

拙ブログのタイトルは「書物蔵」。そして日本最初のSF単行本とされておるのが『世界蔵』
といふことで、チト調べてみた。
星世界旅行 : 千万無量 一名・世界蔵. 第1編 / 貫名駿一. -- 貫名駿一, 明15.6

残念ながら、いろいろな人名辞典を調べてみたが、作者については何の資料も得られなかった。この作者についてごぞんじのかたは、ぜひともご教示いただきたい。『日本SFこてん古典』v.3 p.36

とあるので、いろいろ「ご教示」しちゃおうかすら。ちなみに『こてん古典』の文庫がでた1985年に、明治期のジャーナリスト辞典たる『明治新聞雑誌関係者略伝』が出ていて、それに生没年不明の人物として出てくるというのはオタどんが指摘済み。横田先生も後にこれを参照したらしい。
http://d.hatena.ne.jp/jyunku/20090720/p1
まずは『星世界旅行』が何冊でたかだけど、この時代、いちおーすでに納本制度があったんで、その納本記録を頼ることになる。
すると、明治19年の図書課書目に第1編が出てくるのが見つかるのみ。やっぱす1冊しか出なかったようではある。
ただ、もちろんのこと明治15年刊行となっていて、実際、その年に刊行されたらしい。ただし、発売されたのは書誌にある6月でなくて7月の可能性もある(後述)。
さて、この本を出した側が、いったいどんなつもりで出したかについてご紹介してみよう。

此書は、天地間の大道理に基き、人類と事物の関係により始て世界なる者を構造し、其世界の進運する所、野蛮より智力に至り、智力より文明に達するの理を舒べ、且つ人心権理の究極する所なきより、遂に此大宇宙間に散在する一切世界の光景如何を審定、明察せんと欲する奇絶無比の珍書にして、一読人をして其心胸を廓大ならしむ。(句読点は引用者による)

のだそうな。「奇絶無比の珍書」という認識は明治15年段階でいちおーあった、ということになるね(o^ー')b
ちなみにこれを紹介するのは、わちきが日本最初?
じつは『東京日日新聞』(明治15.7.20)にある出版広告なのだ。
「本月発兌 定価金六十銭」とあり、だから7月刊行かもというのだが、出版者に「貫名駿一」があるから自費出版や私家版のように見えちゃうけど、明確に商業出版だったことがわかる。
そんで肝心の著者たる貫名駿一だけど、これについても、わかっちゃったのだ(σ・∀・)σ
明治30年に…
(かきかけ)

やはり自費出版か(2015.7.1追記)

6年ぶりの追記。このころは震災も原発爆発もなく平和な日本であった…
それはともかく、上記で『星世界旅行』を定価があるから自費出版ぢゃないよと書いたが、やはり自費出版に概念上、入れるのが妥当だろうと、いま気づいた。というのも、江戸期には入銀という慣行があって、これが明治期のそれにあたるだろう。