書物蔵

古本オモシロガリズム

「中田図書館学」にハマるとどうなるか?

おもろいもんを見つけた

1939年春、ある青年が中田館長に会う

京大を卒業したばかりの大学院生、市村新(いちむら・しん)は、以前、家庭教師をしてもらったことのある吉田他吉(石川県社会教育課長)に会いに行った。昭和14年春のことであった。

いろいろお話しているうち、県の図書館に中田邦造という面白い人物がいるから一度合〔ママ〕って見ないかといわれた。おそらく、中田館長が私と同じ京大の哲学出であり、話が合うだろうという配慮があったのだと思う。
 私は大学院に籍を置いていたし、就職する気もなかったが折角の先生のお話でもあり、それから数日後県立図書館長室を訪れた。

(市村新「図書館と二人の恩師」『石川県立図書館五十年のあゆみ』石川県立図書館 1983 p.55)
ここで中田邦造に逢ったのが運のつき(^-^;)

いきなり中田は

中田館長は吉田先生から話があったものとみえ私を親切に迎え入れ、いきなり図書館というものの意義を熱心に話しだされた。ヘーゲル哲学や西田哲学の用語を駆使して語られる中田図書館学にすっかり魅了された私は、自分の仕事を手伝ってくれまいかという館長の言葉に一も二もなく承諾してしまったのである。

(゚∀゚ )ヒョエー
初見の人に、いきなり「図書館の意義」を「ヘーゲル哲学や西田哲学の用語を駆使して語」るなんて。

それから一年間、私は中田先生の哲学と実践を身をもって学び、図書館が男子一生の仕事とするに足るとの確信を抱くに至ったのであった。

石川県立図書館館長の一覧

ん、この『五十年史』には館長一覧もある。専任など主要な人だけ拾ってみたよ。

並河直広 M44.4.26-T10.7.12
中田邦造 S6.4.1-S15.4.3 (事務取S2.2.16-S6.3.31)
河合清吾 S15.12.18-S24.3.31 (心得S15.12.14-S16.9.7)
市村新 S24.10.31-S43.3.31 (心得S24.3.31-S24.10.30)

ということで

本来なら哲学の教授にでもなったかもしれん市村さんは、戦後、ながきにわたって石川県立図書館長をつとめることに(^-^*)
「中田図書館学」にハマると、図書館長になるということでございました。