書物蔵

古本オモシロガリズム

忌辰録は人名事典

去年、こんな本がでていた。
追悼記事索引. 1991-2005 / 紀田順一郎. -- 日外アソシエーツ, 2006.4
日外が(事実上)調査機関向けに売り出してるツールの一種だから、個人で買うというわけにはなかなかいかんが、さっそく使ってみる。や、これは便利だ。
あっとゆーまに図書館人が2人もみつかった。
ひとりは日本図書館研究会の戦時中の代表さん。
石井先生の図書館人名事典には、没年不明ででてくるんだが、この事典が出たと同時ぐらいに図書館雑誌に訃報が載っていたらし。

戸沢信義 とざわ のぶよし
日本図書館研究会初代理事長,宝塚昆虫館館長 (生)1899年2月 (没)1995年2月6日(96歳)

で、年譜や著作目録つきの追悼記事が『図書館界』47(4)(1995.11)p.201-206にあることがわかる。便利。
もうひとりは岡田温(ならう)さん。
訃報は見た憶えがあったけど、追悼記事を読んだ記憶はナシ。2001年だからちょうど、わちきがイチバン図書館史に興味をなくしてた時代なのだ。図書館雑誌に追悼記事2つ、ただしこちらは資料的なものは残念ながらない。もうひとつあがっていた
神奈川県図書館学会誌(77)(2002)p.36-38はどうかしら。便利。
序文で編者の紀田順一郎先生が、収録年代からいってこの本には、1910年代生まれで高度成長期から1970年代に現役だった人たちのことが載っていることになる旨、書いてある。
さすが!
このように、

ある本が、結果として実際には何につかえるのか

ということを説明、再定義するというのは、ほんとうならベテラン・れふぁれんさあの本来的役割ではないかしら。紀田先生は率先垂範しておられるのだのぅ。
でも、この便利な「追悼記事索引」、これっていわゆる「忌辰録」ではないかしら。

これってば「忌辰録」の発展形では(・o・;)

忌辰録 ‖キシンロク
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なんちゅー件名があるようだ。けど、上記『追悼録索引』には付与されとらんね。「人物文献索引」とみなされたからかな。
日国をみたが「忌辰録」はナシ。忌辰をみると忌日とあり、忌日とは毎年か毎月、回向する日で、死んだのと同じ日だそうな。
敷衍すれば、「忌辰録」とは、死亡(年)月日の記録であり、死亡者の死亡日時リストなわけである。忌辰録が「物故者辞典」に転用できると気づいたのは、ここらへん↓の人たちかしら。
大正過去帳 : 物故人名辞典 / 稲村徹元, 井門寛, 丸山信共編. -- 東京美術, 1973