書物蔵

古本オモシロガリズム

白ポストの起源を求めてとりあえず

このまえUPした白ポストの新聞画像
これはなにもいきなり朝日新聞記事の各種data baseから直接に見つけたわけじゃなく、きわめて古典的な「いもづる方式」にてみつけたもの。

Wikipediaの利点欠点

この「白ポスト
平凡社小学館の百科事典にゃあ抑々「立項」されてないうえに索引にもなく、

  • このように趣味的でトリビアルな項目が立項されていた

のは、まあウィキペディアのアリガタイとこなのだけど。

  • (日本の?)ウィキペディアは、ソース(情報源・典拠)がないかあやふやなものがおおい

から、みつけても其の先、どーしよーもない(´・ω・`)
項目を書いてもらう時には、そっせんして

  • 典拠(なるべく文献、次善としてURL)を記載してもらいたい。

ネットではほかに、1)正式の事業として目下継続中のところが多くあること、2)事業主体は教育委員会自治体の外郭団体らしきものばかりなこと、が判った。
2)によって、はじまりの時期さえハッキリさせれば、行政資料系で(わりあい)容易に(って、あくまでレファレンス・ライブラリアン的にはわりあいと容易に、ですよ)でてきそうとわかる。

専門辞典

百科事典にはなく、ウィキペディアも典拠なしならば。
専門事典(辞典)にあたることにす。
ちょこっと主題分析してみると、1)(主題そのものから)本がらみ、2)(上記ネット情報から)教育がらみであると把握す。
1)から、まず図書館情報学系の辞典にあたってみた。

不純な図書館学のおかげで

いちおう丸善の辞典もあたるも、ないので、本命の『図書館用語辞典』(角川1982)(改定・柏書房200?)にあたる。
本についての研究ってーと。「書誌学」があるんだけど、あれはもっぱら前近代中心にやっていて、近代の、それも昭和時代は研究対象に(まだ?)してないといっていい。
図書館情報学の、なんともあやふやな領域設定がここで(幸か不幸か)生きてくる。

さすがの『図書館用語辞典』にも立項なし。でも、ないはずないと探す(こーゆー場合には、上位概念で再度)。
ありましたよ〜「悪書追放運動」の説明文中に(^-^*)
運動が1950〜55年にもりあがった。岡山県「図書による青少年の保護育成に関する条例」(1950)が嚆矢なのだそうな。
んで、1955年に「日本子どもを守る会」「東京母の会連合会」「中央青少年問題協議会」がそれを継承し。

1965年「三ない運動」(読まない見せない売らない)の一環で白ポストしゅつげーん(要旨)

とある。
んー、これで1965年前後を探せばいいのね、とわかる(けど典拠がないよ(´・ω・`))

教育系の辞典へ

2)から教育学系の文献にもあるだろうと。
ある事典にあり(メモしわすれた(ノ_・。)
やっぱり項目は「悪書追放運動」(p.495)
そこに囲み記事が。

悪書,家へ持ち込まないで(朝日新聞 昭41年5月25日)
追放に「白いポスト」お目見え
 24日,東京の国電巣鴨駅出札口に高さ1メートルほどの「白いポスト」がすえ付けられた。「子どもに見せたくない雑誌や本はこのポストに――」とポッカリ開けた大きな口。地元の巣鴨母の会が作った「悪書ポスト」で、通勤の車中で読むのを禁止できぬまでも「せめてわが家へは持込まないで」という母親の切なる願いという。
 チラシ5000枚を配って呼びかけたが,「差出人」もポツポツ現れ,いまに山手線の各駅に作る,とお母さんたちは意気ごんでいた。

o(^-^)oすごい意気込みなりっ!
でもともかくも、書誌鳥さんの言ってた、車中のエロ本読書の処理ポストであったことははっきりした。
かならずしもこの巣鴨の事例が嚆矢とはいえんけど(『図書館用語辞典』は1965年といっているから)、1965年前後に珍なるものとして報道されてたということがわかってうれしいのだ。

追記(2006.12.29)

有害図書と青少年問題 / 橋本健午. -- 明石書店, 2002.11
を瞥見す。うーん(゜〜゜) 参照文献はきちんとあがっているけど、てんこ盛りすぎて全体が散漫な感じ。
それに、肝心な先行研究にまったく言及がないのも痛い。
これを読んでも全体が俯瞰できるという感じではないなぁ。むしろ、資料集的な使い方ができそう。
三ない運動についての記述はあるが、「白ポスト」については見あたらず。