書物蔵

古本オモシロガリズム

司書にふさわしい服装とは:スーツなのかエプロンなのか(ゴシップ読み2)

目次の次ページに「窓」というコラムがあって,まあいつもはどうでもいい随想なんだけれども,今回は非常に重要なことが。
著者(日本人女性)がNYPL(ニューヨーク公共図書館)に勤めた時のはなし…

[勤務早々]〜主任から,わたしは服装について厳しく注意された。〜できるだけスーツのようなきちんとした服装をしてくること。日本人の私[著者]は一般市民よりは背が低いから,勤務時間中はハイヒールの靴を履くことなどである。

司書は専門職で,市民の知的生活のリーダーだからそれに相応しい格好をせい,さらに,子供より背が低いと子供がいうことをきかないぞ,ということだという。また,立派な服装ができるだけの給料をもらっているでしょとも言われたそうな。
帰国して,日本の図書館では事実上,「エプロンがユニフォームになっている」のをみて仰天したという。
著者は,当初の「仰天」に認知的不協和を感じたのでしょう,「司書=スーツ」という米国の常識は日本の常識ではないと文化ギャップのせいにしてしまい,

世界でも類を見ないエプロン着用を発想した日本の図書館に敬服する

と,ほめてんだかけなしてんだかわからない結びかたをしているのであったが…
これは,いちど,ドキュメンタリー作家の佐野眞一が『本コロ』でキョーレツに書いていたね。取材で会った図書館員がエプロンにサンダルであきれた,話を聞く以前の問題だ,って。
佐野眞一は,やっぱり日本土着の作家なんだから,日本人にとってエプロンは,ビジネスシーンでお客に会うときに着るものではないんだろう。
もちろん,エプロンにサンダルでもいい,てのもアリだけれど(わちきは好きだよ),それで「専門職だからもっと給料よこせ」ってのはスジが通らないってわけ。
どんな格好をするか,実態論としてはきわめて重要なこと。明治維新で法的には服装の自由があたえられてからも,性別や職業,社会階層によってオプションがかなり限られてしまう。たとえば,不良中高学生は,あくまで変形学生服をきるのであって,スーツを着たりはしないよね。
あと背の高さで思い出したんだけど,もうひとつ,もっとヤバイはなし… 図書館員のひとって平均より体格がわるいよね。なぜなんだろう,ってもうこれ以上は考察できないなり…(・∀・) この方向で合理的推論を重ねていくと,体格だけじゃなく,容姿の話にまで… ああっ! やばすぎる…