書物蔵

古本オモシロガリズム

本探しは人探し:探求書数奇譚

おととい,小寺謙吉『宝石本わすれな草』の最初の一編を読了。検閲でもう1冊もなくなったはずの『社会主義詩集』の版本を求めて歩くという話。

本さがしは人さがし

というフレーズは紀田順一郎さんの著書で読んだおぼえが… 「古本屋探偵」でだったかしらん。そんなフレーズを地でいくお話。どっからどこまでフィクションなのか。ご自身が相当な書狂だったらしいから,かなりの部分,下敷きになるような事実があったと思われ,なかなかコワイ(^-^*)
実は… これと似たような話はわちきにもあるんよ。
絶版・品切本は,古本屋で買うよね。でも… 古本屋にない本は,どうやって入手すればいいのか(・∀・)?
私家版,非売品,限定版などは,古本屋ではなく,出版社,著者,出版した場所,納入された場所,献本された人にアクセスするのがよいのだ,というのは紀田さんの本で知識としては知ってたけど,昨年はそれを何回か実践しちった(^_^;)
古本屋で買えるんならねー。(多少たかくても)「お金」で済むというのはかなり気がラクなのだ。資本主義万歳!ってか(・∀・)
直接,人とあいたいして本を入手したならば,たとえばそれを批判するというのはかなり気が重いよね,ちゅーか,ほぼできなくなってまう。うーん,わちきはshyだから,それを恐れて,なかなか実践できんかったんよ。
まぁ,逆にいえば,誉めるばかりの本であれば,「ヒトさがし」で入手するのはとってもスリリングな体験なわけだけど。

人さがし体験

去年は,はじめて「人さがし」で絶版本を入手したなぁ。ある人が激賞していたレファ本で,目録にもネットにもなくて,ある裏技で(といっても,googleの検索式を工夫しただけだけど),メアドをしらべて,直接,著者に会いにいったんだった。これは,得がたい経験だったなぁ。いろいろ見聞きできたし,ご本人もとってもよろこんでくれて。
だけど,小寺氏の小説にちかい体験としては,むしろ,ある配り本の探求があった。
これはあとになって格安で古書店から入手できたんだけど,いまとなってはなかなか古書市場にも出ず,古書価も高値安定。
最初,人さがし系でアプローチしてね。あるところにワンサとあったという証言をした人物のことを聞いたときには,その人物は歿していたのだわさ。すると,ぜんぜんちがう方面から,その,あるところから流れたとおぼしき本があるとの話が! そっち方面でおっかけたところ… 意外や別系統のものであるとわかり… では最初の証言者のブツは一体どこへ???
とアタマかかえてたところに古書店から入手できたんで探求はうちきり。
ほかにも1件。
両方ともみんなが欲しがるような愛書趣味本じゃなくて図書館本ね。けど,人がらみなんで詳細はひみつじゃ(・∀・)
このまえの『雁信』(満洲帝国国立中央図書館籌備処(チュウビショ)の同窓会誌)みたいに,数十部しか刷られなかったガリ版なのに古書展で入手できるというのは,奇跡にちかい。
やっぱ,ほんとうにめずらしい文献は人さがしでみつけるしかないのかなぁ… さらに仕込み中のものもあり… ますます秘密なり