『伏字の文化史』は先週の半ば、やうやっと読了した(。・_・。)ノ
- 作者: 牧義之
- 出版社/メーカー: 森話社
- 発売日: 2014/12
- メディア: 単行本
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しかしおととい行った東京堂の軍艦台でも面陳されとったから、けっこう売れてんのではあるまいか。さういや、わちきが昨年末に「正式の発行日」の前日あたりに同じ書店おなじ台から買ったさいにも面陳されとった憶えがあるよ(゜〜゜ ) してみると「読書人の東京堂」ならではの現象かなぁ… 大屋幸世氏の100均小僧本もベストテン入りしたといふから…(σ^〜^)
大屋幸世叢刊「百円均一本蒐集日誌」(定価2160円)が東京堂書店週間売り上げランキングベスト6に
https://twitter.com/yumenoyamame/status/555215450473123840
この本、主たる主題は、近代日本で全面化した「伏字」についての初の単行本てふことにならうけど、周辺的主題として「内閲」についても扱ってをる(´・ω・)ノ
図書館で件名を付けるなら、こんなところにならう。
s1. 伏字 -- 日本 -- 歴史 -- 明治以降
s2. 検閲(事前) -- 日本 -- 歴史 -- 明治以降
といったところかすらん。まあ、
内閲→検閲(事前)
などといふ参照形をつくったり、「伏字」「内閲」なる新標目を建てるかどうかにもかかっとるが。気になるところは、初出論文を読んだときから考えてをったが、『月に吠える』などは、あへて「内閲」の事例とせずともフツー(?)に「削除処分」の事例と考へたはうがよいだらう、ということ。これはユクノキたんや表現急行にもヒントがあったね。古通2月号に川島かうき氏が書くといふ記事も、そこいらへんのこと突っ込むのかすらん(゜〜゜ )
あと広い話としては、出版物統制といはんか出版警察といはんか、さういった枠内でおきるさまざまな事象につき概念整理が必要といふこと(´・ω・)ノ
たとへば「出版雑誌*1」は発行日3日まへ納本が法定され、また「新聞雑誌*2」でもモノによっては発行日まへに納本が慣例化(本書の中央公論の例)してをったやうである。
で、法理(リーガルマインド)的に正しくは、さういったものに対して「発禁」処分を発令するのは発行日以降でなければならんハズ*3だが、実態としては、発行日よりも前の日に発令しちまってたとこもあるやうである。で、こういった事例を「事前検閲」と呼んでよいかどうか。あるいは良いとして「内閲」は「事前検閲」の下位概念でよいのかどうか。よいとしてどこが違うのか(おそらく出版者、著者からの申し込みの有無)といった概念整理。
これには、当時の出版警察用語、出版業界用語をあつめて、現代的枠組みから再整理するといふやうな作業が必要とならん。
あと、微細なことだけど、戦後、ほぼ唯一といってもよい納本窓口の体験談や内務省納本保管庫潜入記を証言しとる太田真舟は、二見和彦だよ。ん?(・ω・。) 二見なんちゅーのも誰かってか。それハだね…
あゝさういや、この本もそろそろ出るんだった( ´ ▽ ` )ノ
- 作者: 大澤聡
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2015/01/21
- メディア: 単行本
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追記
今回の本で驚いたのは、伏字や内閲について、かなやひろたか氏がなんと、すでに1970年代に研究に手をつけてゐたことΣ(・ω・ノ)ノ!
- 伏字・検閲・内閲 : 第4稿 / 金谷博雄 著 金谷博雄 1976
かなやひろたか氏は業界的には、酸性紙問題の運動家として知られてゐたが、こがいな学究的なこともしてゐたなんて(@_@;)
しかしこのかなや氏、最初は書協の職員だったといふことしかわからんのー(*´д`)ノ
いまはどうしてをられるのか...(。´・ω・)?
あと今回の本を見て思ったのは、著者はフルホン、おそらく日本の古本屋を多用して研究を進めてをるだらうこと。
かういった分析書誌的なことをするには、図書館の本だけでは済まんちゅーことですのぃ(*´д`)ノ
谷沢永一なき今、古本の学問的機能につきて、もちっと議論がもりあがるとよいがのぅ...
追記(2015.4.21)
太田真舟=二見和彦説は、撤回いたしまするよ(。・_・。)ノ
http://d.hatena.ne.jp/shomotsubugyo/20150409/p1