書物蔵

古本オモシロガリズム

カードを使えば、ありとあらゆることが可能だ!`・ω・´)o

この本

  • Paper machines : about cards & catalogs, 1548-1929 / Markus Krajewski ; translated by Peter Krapp. -- : hardcover. -- Cambridge, Mass. : MIT Press , c2011. -- vi, 215 p. : ill. ; 24 cm. -- (History and foundations of information science). -- Includes bibliographical references and index ; Originally published:Kulturverlag Kadmos : Berlin , 2002. -- ISBN 9780262015899 ; (BB09075553) ; http://ci.nii.ac.jp/ncid/BB09075553

の書評がここにあったので、やはらげてみた(σ・∀・)σ
http://www.informationr.net/ir/reviews/revs420.html

カード式索引の歴史について、私は今まで他の本があったことを知らない。まさしく、Krajewskiの本は、必要なのに今までなかった新しい知見を読書界もたらしてくれたのだ。 今までカード目録の作り方についての本はあったし、著者も指摘するように、この機械の栄光の時代、メーカーの販売カタログには、ありとあらゆるカード索引が満載だった。けれど、私の知る限り、この本は、そんなカード索引がどのように役立ち、どのように電算機発明の前の時代、知的業績の世界をついに征服するに至ったかを教えてくれる最初(で最高)の本である。
著者のねらいは次のとおり。

どんな電算機にも備わる論理的な3つの基本要素――これはアラン・チューリングが、定めたもので、1)理論上無限の紙テープ、2)書き込み読み出しの頭書き、3)紙部分を自在に行き来できるように書き込み読み込みの頭書きに定められた厳密な手続きといったものだったが――これらを、「紙機械」としてのカード目録に当て嵌めてみよう。この紙機械のデータ処理やインターフェイスを分析してみれば、1929年「カード目録はなんでもできる」と謳ったフォルツシュリット社の宣伝も、正しいと思われるようになるかもしれない、

実際にはどこの誰がカード目録を発明したか、これはおそらく歴史の闇の中に見失しなわれたが、Krajewskiは、コンラート・ゲスナーが紙のシートを切って簡単に並べ変えられる情報ファイルを創ったのが1548年だったと指摘する。この年が、本のサブタイトルにも開始年として謳われた。誰が実際に発明したにせよ、まったく輝かしい革新的アイデアだったのだ。とゆーのも、学術界にそれまでなかった機械、現在にいたるまで、コンピュータでさえもたらしてくれないような便利さを、横5インチ縦3インチの索引カードがもたらしてくれるのだ。
実際、カード索引に似たものは、電算機ソフトにも持ち込まれた――Appleハイパーカードシステムは、とっくになくなっけれど、顕著な例であり、著者、Krajewski自身だって、Synapsenと名付けたハイパーテキストのカード·インデックス·パッケージを考案している。そうしてみると、索引カードモデルは、リアルであれバーチャルであれ、まだ生活のさまざまな局面に影響を残しているのだろう。
どんな種類の情報であれ、その一片を一枚の記録とするという考え方は、とても役に立つが、それも驚くに当たらない。我々が調べたり読んだりしたこと、あるいは人や事件の記録をノートした場合、それらをある原理で並べたり、それと違う原理で並べ替えたりできるように組織されていれば、単一のレコードのアイデアに従うことではじめて、その場所が検索されるのだ。現代データベースシステムでさえ、画面上に目録カードような電子アナログを提示する能力を持っているのがフツーだし、データの「フィールド」という概念だって、図書目録から直接由来している。
Krajewskiは17世紀から19世紀へ、標準カードの発明と、それお収める標準的カードボックスを中心に話を進める。一部の図書館で20世紀まで残った冊子形態につづられる嵌め込み式冊子目録にも目配りを忘れない。大英博物館の図書館などが恰好の事例だ。ただ、ここまで読んで、カラマズーインデックスに言及がなかったのは残念だった。というのも、輪っかやペグで定位置につづられるというのなら、それは「ルーズ・リーフ」バインダーではあるまいか。現にその会社も製品も現在ただいま存在するのだし。
カイザー式「体系的インデックス」に言及していないのにも驚いた。カイザーはロンドンにあった関税委員会の司書だったが、商業や技術といったあらゆる種類の文書を索引化するシステム的方法を開発した。カイザーの業績は今では大方忘れ去られているけれど、当時、彼は組織内情報の役割を分析したり、文書の主題分析しそれを効果的に編成していくために現に使える技術(まさしくカード・カタログ)を使いこなしたりすることにかけては、何十年か時代の最先端にいたのだ。カイザーはこの言葉を使用しなかったが、インデックス作成時の彼のやり方は、「ファセット(主題の面出し)」ともいえるのだ。 私が持っていた1冊はある人に貸したまま戻ってきてない――この文章を読んでいたら早急に返してほしい――が、ネット上でも読むことができるし、情報管理史に興味があるなら、非常に面白いと思うだろう。本書にはカードの使い手たちを書いたイラストがいろいろある。タブをつかったさまざまなレベルの索引がどのような状況におかれていたかがそれでわかるのだが、私の心をとらえた写真はこれだ。この男性はおそらく、まさしくカイザー氏だろう。
本書『紙の機械』は、わざわざ書くようなことなんてあるのか、いったいカードカタログなんてそんな面白いもんかね?と思わせるような本だけれど、ちょっと取り上げて、パラパラめくってみたらば、これこそ書かれねばならなかった本だとわかるだろう。クリスマス休暇に読むのにいい。マルクスKrajewskiは、目録作成の歴史や情報管理の歴史は多大な業績をなした:かなりお勧め。
Professor Tom Wilson
Editor-in-Chief
November, 2011

この本、2002年に出たドイツ語本の英訳版なんだけど、Ciniiによればドイツ語原本が1冊、英訳版が2冊しか国内にないというのも、これは、いったい日本の図書館情報学徒はなにをやっとんのかのー(*´д`)ノ

  • Zettelwirtschaft : die Geburt der Kartei aus dem Geiste der Bibliothek / Markus Krajewski. -- Berlin : Kulturverlag Kadmos , 2002. -- 255 p. : ill. ; 23 cm. -- (Copyrights / herausgegeben von Dirk Baecker und Elmar Lampson ; Bd. 4). -- Includes bibliographical references and index. -- ISBN 3931659291 ; (BB07350996) ; http://ci.nii.ac.jp/ncid/BB07350996

それはともかく、日本のカード目録の歴史についても、書かれねばならないとぞおぼゆ。