書物蔵

古本オモシロガリズム

「見世頃本(みよごろぼん)」について

昭和ヒトケタ代の、エログロナンセンス本といはんか、「尖端」アヴァンギャルド本といはんか、ともかくさういった本のことを一部で「みよごろ本」といふと聞いたのは、このまへの北関東・雑本・古書モール探求の旅であったか。森さんかと思ってたら、さうではないと本人がいふので、これは、もうひとりの書誌鳥であったか。まあ誰がいふたかはともかく。。。(*゜-゜)
わちきはてっきり、「三四五六本」かと思うたら、じつは表記がちゃんとあって「見世頃本」といふらすぃー(o^∇^o)ノ
ご教示や調べによれば、エッセイストの坂崎重盛氏が発案した言葉とぞ。
彷書月刊』一九九七年一月號「特集 昭和六年を読む」に、坂崎重盛「圧巻! 『バッド・ガール』の内容は “謎”の著者・「赤神良譲」とは?」という記事があり、「見世頃本研究会」(坪内祐三草森紳一大島一洋ら)というのがあったといふ。
また、『鳩よ!』142号で、特集「愛書狂:16人の愛書家が公開する秘蔵本大特集」があり、そこで坂崎氏が「見世頃本」について解説しているという。そこでは

昭和3年から6年までに刊行された、いわゆる昭和初期のモダン感覚あふれる本

をさし、坂崎氏の造語であるという。

夜の追記

さて、かやうなる術語はともかくとして、昭和初年のエログロナンセンス時代の本に、現在でも通じるオモシロさを持った本が輩出したという現象は、これはなんでだろうか。
ってか、なぜ昭和6年までで、7年以降はダメなのかすらん、といった問ひをたててみやう。
これはあて推量なれど、出版検閲が昭和7年ころからなにかしら、変わったのではあるまいか。
たとへば。。。
「内閲」って、制度化されて復活したのは昭和7年からではなかったっけ。

2020.1.15追記:昭和7年が画期となった理由

7年前の当て推量、大当たりかと(´・ω・)ノ
昭和7年から8年にかけて、出版検閲は「検閲第一主義」から「執行第一主義」へと方針転換している(「出版警察報」58号)。